朝になって目を覚ますとここは大学の寮じゃない事を思い出した

「おはよう。カオリ」

リナさんの言葉におはようございますと返事をした

「何もトラブルはなかったみたいね」

リナさんはもしもに備えて、枕の下に銃を置いて寝たんだけどと。
さすがに私はそこまでリスクがあるとは思っていない。
第三新東京市警察の官舎を狙う者など限られる。と言うかそんな無茶をするのははっきり言ってバカだ
退路はないのだから、突き進むしか道はない。戻れば殺されるのだから
そこまでのリスクを背負ってまで攻撃を仕掛けてくるなら私はある意味で拍手をしてやりたい

「カオリ。SIG SAUER P220はあなたにプレゼントするわ」

「誕生日ではないことは知っていますよね?」

例え誕生日だとしても、プレゼントが銃とはなかなか斬新なプレゼントだ
だが大事なものであることは間違いない

「良いじゃない。もらえるものはもらっておいた方が良いわよ。自分の命を守るために必要ならね」

リナさんは記念日っていうのは別にどんな理由や口実でもつければ良いだけだし
確かに別に記念日っていうのは自分がそうだと感じればそれだけの話だ
ただでプレゼントしてくれるならと私は喜んでもらうことにした
念のため銃のスライドを引いたりして、しっかりと動くかどうかを確認した

「私があなたに劣化ものを渡すわけないでしょ。プロから仕入れているんだから」

それに私も点検したから万全のはずよと。
確かに元々リナさんが持っていたのだから動かないということは考えられない
それでも一応確認しておいた方が良い。先入観で動けば必要な時に機能しないのでは意味がない

『トントン。第三新東京市警察本部刑事課の立石というものです。今、良いでしょうか?』

ドアをノックしてきた声から相手が女性であることは間違いない
リナさんは心配しないでと言うとドアを開けに行った
リナさんとは親しい仲の人みたいだった。私はとりあえずリナさんにお任せすることにした

「鑑識結果を持ってきたわよ。リナ、あなたはもう国連軍の兵士じゃないのにいろいろと面倒をかけないで」

立石さんという方はリナさんと親しい関係であることは間違いない
それに国連軍時代の戦友の様子だ。ここは私が介入しないほうが良いようだ

「良いじゃない。貸しがあるでしょ。それで結果は?」

「どうやら反ネルフ組織の行動のようね。私でも独自に情報を集めているわ」

「どうして狙われているの?」

「それはあなたが一番わかっているはずよね?水川カオリさん。ネルフと縁があるから反ネルフ組織から狙われる」

彼女の言う通りだ。簡単な理屈である。
ネルフが利用価値ありの人材だというなら反ネルフにとっては抹殺するべき人材と見るだろう

「狙いは私がネルフと接触があるからですか?」

「ええ。反ネルフ組織にとってあなたを消せば、ネルフに打撃を与える事になる。気を付ける事ね」

立石さんはそう言うと部屋を退室した