とりあえず私は第三新東京市警察の官舎から大学に向かうことにした
いろいろと手続きをしなければならない。
今後の対応についても私のこの街での保護者をしてくれている高波教授と少し話をすることにしたのだ
大学まではリナさんと一緒にタクシーで向かった

「本当に苦労しているわね」

リナさんの言う通りだ。どうしてここにきて急に私の周囲が騒がしくなったのか
はっきり言ってしまえば私にとっては迷惑でしかない

「まったくです。私としては関わりたくないのにあっちから踏み込んでくるのですから」

私はネルフとは関わりを持つつもりはないのだが、
彼らにとって『僕』という存在は利用価値あるとみているのだろう
いまさら、『僕』を担ぎ上げてどんな利用をするかは予想はできる
きっと神様を見つけてきたとでも言いたいのだろう。
そんな甘い手に乗るつもりは全くない
というよりネルフとも反ネルフ組織とも関わるつもりはない
必要なら邪魔者は排除していく。陰でこっそりとして
私が犯行に関わっていないということを証明することは難しいことではない
だって私は『神様』に近い立場だ。どんなことでもできる。
同じ手は使えないのでいろいろと工作は必要だけど

「本当に面倒になりましたね」

「それでカオリ。あなたはどうするつもりなの?」

リナさんの質問にとりあえずは平穏に過ごせる道を探してみますと答えた
まだ道が決まったわけではない。選択肢はいくつかあるのだから
どんな道になるかは私が決める事であり、他者からどうこう言われるつもりはない

「私は私が進む道を見つけてみせます」

「なかなかのやる気が入っているわね。今後のあなたの成長が楽しみだわ」

リナさんが明日は雪でも降るかもしれないわねとも言った
私がやる気を出したらそんなに珍しいのかと言いたかったけど、
確かに急激な変化であることは事実である事なので反論はしなかった

「そういえば大学にどう報告しておくのでしょうか?」

大学側は私がらみでこれだけのトラブルが発生しているなら、
いろいろと行動制限をかけてくることは予想されてくる
私の質問にリナさんはこちらでうまく処理できるように手配をかけておくからと言った

「一応表向きはネルフに勧誘を受けているという名目で報告しておくわ。嘘は言っていないし」

確かに私はネルフに引っ張られている。迷惑なほどに。
私としてはそんなひもなど切断したいのだが、彼らは簡単に引き下がってくれない
それどころか。余計に私に接触してくるかもしれない。
そんな事態は避けておきたいところである

「高波教授には私も一緒に会うわ。いろいろと調整も必要だし」

リナさんの調整とはどういうことなのかわからなかったのでどういうことですかと質問した

「あなたの両親から保護監督を任されている身としてはきちんとした判断能力ができるか見極めないといけないからよ」

「相変わらず厳しい意見です」

「わかればよろしい」

でもネルフによって私の楽しい人生は妨害される
『あの時』の事を知る者は抹殺されるべきだ。知らないほうが幸せの事がある
特にネルフやゼーレの関係者となると、彼らに知られるわけにはいかないのだ
どんなに拷問されようと私は決して真実を漏らすことはしない