タクシーで大学に戻ると私はリナさんと高波教授の執務室に向かった
今後の事を考えると教授とも話を共有しておくべきだから。

「それにしてもここに来て本当にネルフに振り回されているわね」

リナさんの言う通りだ。こちらとしては接触するつもりはなかったのだけど
どうしてこうなってしまったのか。誰か説明をしてほしいところです
高波教授の執務室の前に到着した私達はリナさんがドアをノックした

「高波教授。入室しても良いでしょうか?」

リナさんがそう言うと室内からいつでもいいよと高波教授の声が聞こえてきた
私達はドアを開けて執務室に入ると、教授は1冊のファイルを見ていた

「2人とも。いろいろと大変だったみたいだね」

高波教授は苦笑いをしながら私達にそう言ってきた

「教授。私としては迷惑に過ぎない出来事です。ところで何かありましたか?」

教授は私にファイルを渡してきた。
ファイルの題名を見て私は大きなため息をついた

「私がどういう反応するのか楽しんでいるのでしょうか?」

ファイルの題名は[ネルフへの入局について]と記載されていた
つまりネルフから内定をもらっているも同然であるが、
こんなことで私が諦めると思ったら大間違い

「君が拒否することを分かっているのに僕に押し付けてきたからね。大学長は」

「つまり断るのは難しいと?」

大学のトップである大学長から教授に渡されたということは
教授を動かしてでも私がネルフに入局させるつもりなのだろう
仮に拒否したらどんな行動に出てくるか

「教授はどういう考えなのかお聞きしても?」

「僕は強制するつもりはないよ。大学長には君は説得に応じる人間ではないと伝えておいたしね」

感謝しますと私は言うとファイルを教授に返却した

「絶対にお断りしますとお伝えください」

私の言葉にリナさんはあなたはやっぱり変わり者ねと少し笑った
確かにネルフの『真実』を知らない者なら変わっていると言われても仕方がない
ネルフが『大罪人』であることを知らないのだから
教授は分かっているよと言うとあとはこちらで何とかしておくよと

「では私は図書部の部室に行きますので」

「それなら私も一緒に行くわ。話もあるし。あそこなら安全でしょ」

大学の図書館まで襲ってくることはないとは思うが警戒は必要になる
リナさんと一緒に私は図書館に向かった
大学敷地内は平和である。これがどこでも当たり前になれば良いのだけど
現実はそうはいかないのだ
どうしても私の針路を妨げる城壁が存在する

「そういえば図書委員会の新しい本の買い付けに関する審査が明日の夕方に行われるから」

リナさんからの連絡に私は分かりましたと答えた

「それで、今度は何冊の本を買ってほしいと要求するのかしら?」

私はまだ選定中ですと答えた。

「お願いだから無茶な要求はやめてね。上から怒られるのは私なんだから」

図書部の顧問をしているから、リナさん経由で私に注意が来るのだ
リナさんにしては迷惑な話なのであることは分かっている
私はできるだけ努力しますと伝えた