大学図書館にある図書部の部室に到着すると私はとりあえず図書館から借りている本を読み始めた
いつもの日常である。リナさんは図書館の事務室で少し作業をするとのことだ
だから今は私1人だけの静かな時間である

「静かな時間ね」

図書部は元々部員はそれほどいない。
私とルミナさん以外はほとんどが幽霊部員のようなもの
ただ籍はあるけど、所属している理由は大学図書館に高額な本を買ってほしいから在籍しているだけ
そういう部員が多い。だから図書部での会議などを行なったりすることはほとんどない
私が部長でルミナさんが副部長。

「本を買ってほしいからと言って図書部の権限を利用されるのは迷惑なんだけど」

まぁ文句は言えない。幽霊部員だから利用価値があるのだ
書類上、それなりに部員がいるという形であるから
本の購入に関して図書委員会にお願いができるのだから
そのため、所属上は図書部に在籍していたとしても実態は何も活動していない

「本当に静かね」

そこに駆け足で近づいてくる足音が聞こえた。
私はとっさにカバンにある銃のグリップを握った

「お待たせ!」

ルミナさんだった。何か慌てているのか、部室に来るとドアを閉めて大きく深呼吸をした

「何かあったんですか?」

「図書委員会の委員長から苦情が出てきたのよ!委員長は私が提出した本の購入リストは絶対認めないと!」

ルミナさんのこのセリフはいつものことである。

「また購入希望の本の数が多かったの?」

「仕方がないじゃない。高いから買えないのよ!」

またしてもいつもの日常だ。大学図書館に購入希望してくる書籍の多くが一般市場では高額な本が多い
もしくは量が多いかであることがほとんどだ。
大学生だって豊富にお金を持っているわけではないのだ。
安く済ませることができるなら、どんな手段でも使ってくるのは分かっている
法律に違反さえしなければ。

「ルミナさん。いつも言っていますよね。高額な本は避けるべきですと」

「それはそうだけど。お金がないのは知っているでしょ?」

ルミナさんはアルバイトをいくつも掛け持ちして何とかしているからと
私も同じ立ち位置にいる事は事実である
ただ購入希望をストレートに提出したら認められないことは分かっている
だからこそ、何事もほどほどが良いのだ

「とにかく購入希望を出している本は絞り込むべきです」

「それは分かっているけど。でも、ね?」

ルミナさんは子供のように目を輝かせるような表情を私に向けた
お願いと、まるで彼氏にプレゼントを強請るかのような声で話しかけてきた

「ルミナさん。色仕掛けなんてしたって私は怯むことはしないです」

「やっぱりこの手は使えないわね。カオリはいないの?恋人とか」

大学で親しい友人は多いが、一線は守っている。
ちなみに恋愛をする時間があるなら私は勉学に時間を使いたい
もしくは読書に時間を使いたい

「ルミナさん。とにかく絞り込んでいくことが重要です」

私から図書委員長にそれなりに話をしておきますけどと伝えた
今の図書委員長はかなり厳選して本の購入リストをまとめている
ということはかなり厳しい戦いになる事は確実である
でもルミナさんにはいつもお世話になっているから断るのも申し訳ない
少し妥協点を出してもらえるように配慮してもらうしかない