第三新東京市 地下ジオフロント ネルフ本部

「碇、ネルフが彼女を誘拐したと通報が入ってきている」

冬月の言葉に時間がないことがすぐにわかった。今の段階では何の罪もない女性を拘束している
マスコミは騒ぐであろうことは容易に想像できた
いくら特務機関とはいえマスコミによる世論1つでこちらに対する立場や評価が決まりかねない
私はシンジだと思いたいのかもしれない。あの女性を。だがそれを証明することは現時点ではできていない
DNA鑑定をさせたがシンジのものとは一致せず、私とユイの親子鑑定でも一致しなかった
つまり彼女は本当にただシンジの最後を見届けただけなのか。
そう考え始めた。そこにユイが入ってきた

「どうするつもりですか」

「結果は何もわからない。とりあえず今日のところはこのあたりでやめておこう。強引に行ったと知られるとまずい」

私の言葉にユイもそうですねと答えた
このまま国連まで介入してきたら危険な展開になることは確実だ
私たちを話をしている時に冬月が持っているタブレットにあるテレビ局の報道が映し出された
それを私に見せた

「新聞だけじゃない。大手テレビ局までもがこのネタに食いついてきた。まるで図ったようなタイミングで」

「冬月先生、彼女がここにいる事は知らないと思いますが」

いったいどこからリークされたのか。
このまま報道が過熱すればネルフの方針にまで影響は出てしまう
私は決断した

「当面の間は彼女には手を出さない方針で行く」

私の言葉に冬月は本当に大丈夫なのかと。ユイも冬月と同じ考えを持っているようだ
もし彼女がシンジの生まれ変わりならば謝罪をしたい
だがそんなことをしても過去は変えられない。
我々はひどいことをした。シンジが神になっていたのなら我々は救われたのだ
あと少しでゼーレと同じ道を行くはずがシンジが託した言葉のおかげで正義の味方をしていられる
もし彼女がシンジの生まれ変わりなら、こちらも誠意を見せるべきだ
犯した罪の代償は払う覚悟はできている

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私はネルフの留置施設に収監されていながら何か面白いことはないかと考えていた
そこにドアを開けて加持さんがやってきた

「君を釈放するよ。これ以上身柄拘束をするだけの材料もないからね」

「もしあったら私は自分で自分を殺しますよ」

そう、ばれたら死ぬ覚悟はできている。すべては今更なのだ
今更握手などをして仲良くなんて誰がするものかと
ワザと私を殺す方向に話をもっていっていた

「君とは長い付き合いになるかもしれないね」

加持さんの言葉に私は終末はくるものよと言う。
彼は私が入っている留置施設の檻の扉が開けられて出ることができた
彼のエスコートによって私はジオフロントから出ていき正面ゲートを出ると地上に戻った