次々と弾はこちらに撃ち込まれている
第三新東京市警察のパトカーのサイレンも聞こえてきたが、
敵さんはかなり激しい攻撃がお好みのようだ。
あちらとも徹底抗戦の構えで対応してきている

「本当に迷惑な存在だわ。碇シンジ君が自らの『命』に決着をつけるのは納得ね!」

この部屋の窓ガラスは防弾仕様でかなり分厚いようだが、
対物ライフルを使っている影響なのか、楽々と貫通していた。
相手はアサルトライフル。こちらはオートマチックのグロック17
どう計算したところで分が悪いのは明らかだ
どうやって立ち位置を変更するべきか私は必死になって考えていた
最大の邪魔者はレイさんとアスカさんだ。この2人にはできれば傷はつけたくない
まだ選択の余地はあるかもしれない。僅かではあるが。

「グロック17の予備マガジンはあと2つ。つまり弾は20発。そろそろ限界って感じかもしれないわね」

ここからどう打って出るか。
ミスをすれば私も彼女たちも犠牲になる
私は『神様の特権』を行使すれば良いが、それをすると面倒になる
ネルフに利用されるようなことは絶対に避けたい
彼らとの接触はもともと嫌な状態なのだから当然である

「碇レイさん。あなたたちは自分たちの存在の重要さをよく理解することね」

ようやく銃撃戦が終焉を迎えた。ネルフの保安諜報部が介入したのだ
できることならもっと早くに介入してほしかった

「まったく迷惑な話ね」

『僕』としては綾波やアスカを傷つけることを本心では望んでいない
ただしできる限り、『僕』を追いかけることなく人として歩んでほしい
『私』は『神様に近い存在』なのだから。いつまでも過去を追いかけるのではなく未来を見てほしい

「これだけは言っておくわ。碇レイさん達を含むネルフ側に碇シンジ君の真実を知る資格を失っている」

だからもう汚れた手で彼に触れないことねというと、
私はとにかくこの場をどういう言い訳で乗り切るべきか考え始めた
もう何度も警察にお世話になっている。これ以上深入りするといろいろ不都合が大きくなるだけだ
私はただ穏やかに過ごしたいだけなのだけど。
どうしてこうもトラブルという名の雨が私の周囲に降りまくるのか
説明してほしいくらいだが、こればかりは誰に聞いてもわかることではない
少しずつ時間が解決していくと思っているが。そうはいかないようだ

「とにかく彼のことを思うならもう忘れることをお勧めするわ。シンジ君もそう願っているでしょうし」

『僕』としてももう振り返ることはやめてほしい。
過去ばかり見るのではなく未来を見てほしいからだ