第三新東京市警察本部では一通りの事情聴取をまた受けるだけだ
真実を話すわけにはいかない。それに知らない方が幸せということもある

「本当にあなたには心当たりはないのね?」

立石さんは私のことを明らかに疑っている
当然と言えばそうである。私関係のトラブルがここ最近だけで連日のように起きている
裏で誰かが絡んでいると考えるのは当たり前である

「私はネルフ側と接触が多いからでしょう。彼らと直接接触し始めてからトラブルが起きていますから」

私は何とかごまかそうとしていた。このまま追及されるのは良いことではない
もう私は『碇シンジ』ではないのだから。ネルフと関係すれば私の将来にも影響が出てくる
ますます状況は良くない。
おまけに立石さんは私が銃を持っていたことについては深くは探ることはしなかった
リナさんからもたらされた情報ではゼーレが少しは動いていることはわかっている
いろいろと面倒ごとばかりを起こしてくれる連中である
もし殺人が許可されているなら抹殺してやりたいところだが
ここでそんなことをすればいろいろな面で問題が出てしまう
市警察にマークされるだけならまだいいが。
ネルフにまで24時間常に監視されるのは都合が悪すぎる
そんなことになると私はこの街にいることはできない
この街どころかこの国にいることも危険すぎる。
いろいろな広い世界を見るためにジャーナリストになるということも良いかもしれない
無茶ではあるが自由に生活するためにはその道しかたどることしかないなら余計にだ

「とにかく今日はもう良いですか?しばらくはどこかのビジネスホテルに泊まりますので」

「わかりました。我々市警察としても念のため警備をつけます。これ以上市内に問題を持ち込まれるのは嫌なので」

当然の判断である。私は問題ありませんと答えると市警察の取り調べを終えた
私は携帯電話を取り出すと高波教授の携帯電話に連絡した

「高波教授。お忙しいと思うのですが安全に過ごせる良いホテルとかありましたか?」

『そういえばまたトラブルにあったらしいね。手配をかけているところだから今は市警察本部に待っていてくれるかな』

市警察本部に迎えに来てくれるらしい。それはそれでとても助かると私は感じた
私がホテルを選ぶとなるといろいろと苦労しそうなのである
セキュリティの関係上少しは警備が厳しいホテルの部屋の方が安全である
今のこの状況では何が起きるかはあまり想像したくない
もしゼーレの残党が攻撃を仕掛けてくるなら何をしてくるか想像できない
常に最悪のシナリオに沿って行動することが求められる
それが生き残るための道筋であることは真実なのだから仕方がない
仮にホテルが見つかってもできるだけ迷惑をかけるわけにはいかない
よほどの警備体制がなければ難しい

「ネルフサイドからのアプローチが今後も来ることは間違いなさそうね」

このまま黙って手を引くような連中ではないことはわかっている。
彼らは私の存在している理由を調べようとするだろう。
もしかしたら新たなる『使徒』なのではないかと考えてくるかもしれない
もしそう考えてくるならそれはそれで攻撃するだけだ。いろいろな方法を使って
『僕』に手を出すというならそれなりの覚悟を持ってもらわないと