私は加持さんにそう伝えると高波教授の執務室を退室するために応接セットのソファーから立ち上がった

「私は彼が私に命令してくれたことを実行しているだけよ」

『僕』はネルフに散々利用されてきたのだから、
復讐の1つくらいしても良いかもしれないけど。
今のネルフやゼーレの黒い闇を抱えている人物たちが生み出した神様は私なのだから、
そんなことをするわけにはいかない
神様である私が裁くことはしてはいけないことであり、
罪人を裁くのは人々が守っている法によって正当な裁きでなければいけないのだ
『僕』が好き勝手に『神様の権限』で裁いてはいけないことははっきりしている

「私の目の前でトラブルが起こされたら、そのトラブルがネルフ関係ならあらゆる方法使うわ」

加持さんに私は気をつけることねと言うと高波教授執務室から退室した
『私』の進路が妨害されるならあらゆる手段で反撃に出ることは考えている
あらゆるメディアにネルフの暗い過去に関する情報を出元が分からない形で流すくらいのことは当然だ

「まったく厄介な問題が持ち上がったみたいだね」

執務室のドアの横では高波教授が立っていた
私はさすがはこの街で保護者をしてくれていると思った
今はもう『碇シンジ』ではない証がこの大学に存在する
だから『僕』は『私』になっても平穏に過ごせていた
今まではの話だが。現状は大きく変わったことは間違いない

「迷惑な話です。私としては抹殺したいところです」

私の言葉に教授は苦笑いをした
高波教授はこの街では私の保護者をしてくれている
もう大学生だから保護者は子供ではないのでなくても良いことなのだが
私に何かあった時にすぐに連絡できるように緊急連絡先が高波教授となっている
『今』までは教授に迷惑はかけてこなかった
しかし最近になってネルフが介入してくることを考えると、
私はかなり危険な状況下に置かれることは間違いない

「とにかく、君は気を付けた方が良いよ。特務機関であるネルフは必要なら法律なんて無視するからね」

私は教授に少しだけネルフの内情を話をしている
もしものことを考えて、警戒してもらうためには必要なことだから
すでに『私』が『僕』であるかもしれないと思っているはず
私を追い詰めるために大切な人を巻き込んでしまうことは十分考えられる
そんなことにならないことを祈っているが、現実というのは厳しいものである
ネルフは私の利用価値を考えて暴走する人間は必ずいる
私利私欲の塊こそが『ネルフ』という組織なのだから
だから私はネルフに警告した。
こちらはネルフの真の活動目的がゼーレが企てたあの計画であることを知っている
それをマスコミに流されたくなければかかわるなと
必用なら私はマスコミやインターネットを使ってばらすことをする