今日は授業はない。私は昼からアルバイトの料理店の評価の仕事に行く予定だ
ただし今回は1人でというわけではなくルミナさんと一緒にだ
2人の方が勘づかれることはないだろうと思っているし約束だからだ

「それで今日はどんなメニューなの?」

「イタリア料理。いやだった?」

「おいしいなら何でもOKよ。おまけにおごってくれるならなおさらね」

私たちはそんなことをしゃべりながらバスで市街地中心部に向かっていた
ようやく勝ち取った幸せに満ちたこの生活を続けれるならどんなことでもやってのける
私はもう碇シンジじゃない。全くの別人として生まれて生活しているのだから

「それにしてもいい仕事よね。おいしい料理を食べてお給料が出るなんて」

「でも苦労が多いのよ。判定員と気づかれないように料理屋を回るのって」

「それもそうね。何度も来ていたら怪しむかも」

「だから今日はルミナが目くらましの代わり」

「私はおいしい料理がただで食べれるなら何でもOKよ」

私たちはそんなことをしゃべりながらバスで街の中心部に向かっていた
平和な日常だ。私が最も求めていたものかもしれない
心から信頼できる友人との出会いと交流。
私にとっては幸せな日常だ。

「ねぇカオリ。教師になって世界中を回るって言っていたけど。つらいこともあるわよ」

「それでも世界が少しでも良くなるなら、私は子供たちが子供らしく育つことを願っているの」

「それについては私も同意見だけど。世界は危険よ。紛争状態になっているところもある」

私が世界を元に戻したのに人間は争いをやめようとしない
世界が進むには争いが義務付けられているのだと思えるほどに
そんな世界で生きている子供たちを1人でも子供らしく過ごせる世界に戻してあげたい
少年兵などが存在しない世界を目指したいのだ

「幸せは待っていても来ない。だって子供たちは幸せを知らずに育ったから戦場で戦うことになるのだから」

私は1人でも多くの子供たちを助けたいのだ。
誰もが幸せに生きていくことができる世界
戦闘や紛争という悲しい世界の中で失われていく命
犠牲者が少しでも減るなら私はどんなことでも頑張っていく

「ねぇカオリ。今度の教育実習は結局どうするの?」

「仕方がないと思うしかないわ。それにこれ以上大学にもお母さんにも迷惑はかけられないし」

「よかったら教授に変えてもらえるように話を一緒にしてみる?。教授だったら無理な人事配置はしないと思うし」

ルミナの言うとおりだ。今のままでは必ず彼らと接触する
そういった事態は避けたいが、不審な行動を見せるとネルフの闇に引っかかる可能性がある
その為にも今はこのままの状況を保つべきだと私は考えた

「ルミナ、あなたの温かい言葉には感謝するけど教授に迷惑をかけられないわ」

私はそう言うと再び今日行く店の話に戻した