学長との話し合いを終えると私は高波教授と一緒に授業を受けるために一緒に講義室に向かった

「それにしても君はネルフから相当関心を持たれているみたいだね」

「私としては迷惑な話なのですが」

そうだ。私にとってはもう碇シンジではない。
碇シンジは過去の存在なのだ。そして死亡したとされている方が都合がいい
いろいろな意味で。それにネルフに狙われているなら海岸の町に帰るのは得策とは思えない
もしかしたら私のお母さんの旅館に迷惑をかけるかもしれない
そんなことはしたくないのだ。私は学長執務室を出るとため息をついた

「どうしてトラブルがこうもたくさん降ってくるのでしょうか?」

「それは君が魅力的な美女だからじゃないかな?」

「高波教授。私がそう言われるのが嫌いだってことは知っていますよね」

「でも君は美人だ。だからこそなのかもしれないよ」

「教授。人の顔で成績を決めているんですか?」

「冗談だよ。それで本音を聞かせてもらえるかな?あの町のご両親に報告するのも僕の仕事だからね」

実は高波教授もあの町の出身で、私のお母さんとお父さんが経営している旅館で生まれ育った
だからこそよく状況を理解してくれている。
そして彼はこの街で私が生活しているときに保護監督責任者という役目を担ってくれている

「ネルフは嫌いです。ただ毎日穏やかに平和に暮らせると嬉しいだけです」

「それは難しくなりそうだね」

「そうですね」

「ご両親には僕の方から連絡をしておくよ。君の保護責任者としてね」

「お願いします」

私はそんなことを話しながら授業が行われる部屋に一緒に向かっていった


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第三新東京市ジオフロント ネルフ本部総司令官執務室

「あなた、彼女の経歴について追加調査した結果はどうだったの?」

「2年前より前の記録はまるで見つからず。もともとデータは不完全の物しかないから仕方がないが」

私は夫のゲンドウさんと話し合いをしていた。
私には彼女が、水川カオリさんが私の息子であるシンジの今の姿だと考えていた
いや、そう思いたいのかもしれない。
どうしても謝りたいのだ。実の子供に責任を押し付けてしまった母として
私の友人のアスカちゃんの母であるキョウコは謝罪ができた。
私はレイちゃんに謝罪することができて受け入れてくれた。
でもシンジには何もできないままだ。

「今のところ何もわからない。この街での保護者はあの大学で務めている高波教授という事だけだ」

「彼から揺さぶりをかけてみませんか?」

「ユイ、ネルフが直接介入するとマスコミの目が厳しくなる」

ゲンドウさんだった気持ちは一緒だ。
謝罪できるものならしたいのだが彼女がシンジの生まれ変わりだという保証はどこにもない
ただの自分勝手な思い込みなのかもしれない