私は1階に降りて中庭で缶コーヒーを飲んでいた。
碇ユイは私の姿を見てからまるで私の動きを見張っているのか、一定の距離を保っていた

「何かご用件があるのですか?碇ユイさん」

「私の事を知っているんですね」

「何度かマスコミの報道で見かけただけです。私は騒がしいのが苦手なので失礼します」

本音を言えばこんな場所からさっさと逃げたかった
もう彼らと関わるつもりはないと思っていたからだ

「カオリ!」

そこにルミナが半分泣いた状態でこっちに向かってきて話しかけてきた

「ルミナさん!何かあったの?」

「ちょっと助けて~、教授がまたどこに行ったかわからないのよ」

私たちを指導してくれている高波教授。隙を見せると名前のように波に揉まれたかのようにどこかに行ってしまう
見つけるのはなぜだかは知らないけど私とルミナの仕事ということになっている

「わかったわ。教授の執務室は?」

「准教授に聞いたけど10分前に外出したって」

彼は私が言うのはちょっと失礼かもしれないが優秀なのだが1つ欠点がある
すぐに迷子になる。迷子というよりかはどこかに姿をくらましてしまう。
もちろん探せば見つかるのだが、まるで子供のようにかくれんぼを楽しんでしまう

「困ったわね」

「大学で一斉放送をかけてみる?」

ルミナの提案はわかるが後始末が面倒になることは間違いない
だから私は心当たりがある場所に向かった
そこは新薬の検証のためにラットを管理している大学の研究室だ

「高波教授。見つけましたよ!」

「水川さん。どうしてここだと?」

教授はかなりの動物好きだ。可愛いものなら何でも
ただし、教授が思っている可愛いという部類と私たちの価値観が一致することは少ないが

「私の勘です。それで今日のご趣味はラットですか?」

「そうだね。可愛いよね。白いネズミ」

まるで子供のような価値観を持っている彼。
私もさすがについていけなくなくなりそうだった

「動物たちと触れ合うのは良いですけど、お仕事の時間です。それとも誰かと交代しますか?」

「君の成績は今までこの大学始まって以来の記録でトップの君なら任せても良いと思うけど。だめかな?」

「だめです。教授のお仕事を奪うわけにはいかないので。それに私も単位を落としたら嫌ですし」

「飛び級で卒業を迎えれるって聞いているよ。君なら任せられる」

確かにそうだ。少し前に学長から言われた。私のような人材を欲しがっているところがあると
どこかと言えば機密だと言いながら1冊のファイルを渡された
ファイルの中身を見て私はショックを感じた。あの正義の味方を気取っているネルフからだった。
私が考案した新しいスーパーコンピュータに関する技術が欲しいと
私は研究さえできるなら場所は択ばないがあそこだけは嫌いだ。汚れた罪人がいるところに何故私をと

「教授、私は大学院に進学します。その為にお金を借りたんです」

私は海岸の町で私を拾ってくれた母に頭を下げて頼んだ。ただ、大学院への進学をさせてほしいと。
あの人は私になぜそこまで彼らを嫌うのかという理由は何も聞かずお金は何とかすると
母のためにも確実に大学院に進学してより多くの人達にいろいろな大切さを教える教師の道に行きたい