ここはエヴァパイロットが通学している学校ということもあり、すぐに警察が駆けつけてきた
私は職員室に戻るとすでに警察が事情聴取を行っていた

「水川カオリさんですね。第三新東京市警察の刑事です」

女性刑事が警察手帳を見せて事情聴取をさせていただけますかと聞いてきた

「少し待っていただけますか?」

「かまいませんが」

私は足首のリボルバーをカバンに隠すと学校の会議室に女性刑事と向かった

「お怪我はないですか?」

「はい。運が良かったんだと思います」

会議室に入るとすぐに事情聴取が始まった
幸いな事に狙いはエヴァのパイロットと思っているようだ
私の事はほとんど疑っていない。
だが実際の狙いは私がターゲットであることは容易に想像がついた
おそらく襲ってきたのはゼーレの関係組織だろう。

「何か狙われるようなことに心当たりはありますか?」

「私はただの大学生ですので、そういうことはまったくわかりません」

「わかりました。今後事件に何か進展があれば再度事情聴取を行う事もありますので」

ご協力をお願いしますと女性刑事はそう言うと聞き取りは終了した
好運な事に事件を受けて今日の午後の授業は中止になった
私達も大学に帰る事にした

「ルミナさん、一緒に帰りましょう」

「そうね。カオリは図書部の部室によって行くのかしら?」

「ええ、せっかく時間ができたので図書部の部室で本を読んでおきたいですし」

落ち着いて考え事ができるところは図書部の部室ぐらいだ。あとは寮の自室だけだ

「カオリ、私は寮に帰るわ。命の洗濯をしたいし」

ルミナさんが言っている命の洗濯とは入浴の事を示している
確かにそうかもしれない。お風呂でゆっくりとするのは良いのかもしれないが

「シャワーを浴びてのんびりしたいんですね。私はネルフの騒動のおかげでちょっとのことぐらい大丈夫だから」

「さすがは長い付き合いをしているだけあって分かっているわね。ええ、その通りよ」

ルミナさんは何かあればすぐに連絡してくれて構わないからというと寮に帰る用意をした
私はすぐに帰宅できる用意をしていたので職員室の休憩スペースでコーヒーを飲んでいた

「お待たせ。カオリ」

「それじゃ、帰りましょう」

私とルミナさんは一緒に高校の近くのバス停に向かった。
他にも高校の学生もいたがみんな突然の臨時休校の理由は知らないようだ
誰もがどうして休校になったのかといった話題で盛り上げっていた
生徒にとっては休みになるのは良いことかもしれないが
私とルミナさん以外にも高校にバスで通っている生徒はいる
生徒たちと一緒にバスを待っていると1台のタクシーが近づいてきた
タクシーはバス停の前で止まると1人の女性が下車した

「カオリ!」

「リナさん!」

私に声をかけてきたのは相川リナさん。
いつも自分の身を守るために必要なあるものを調達してくれている
そのある物とは簡単に言えば銃などだ
彼女は以前は国連軍に所属していたが今はフリージャーナリストをしている
その関係で銃などのブラックマーケットをよく知っている。
彼女と初めて出会ったのはあるニュースのスクープニュースを提供してからだ
それからは教授と同じで私のこの街での保護者の1人でもある

「ルミナさん。私は少し別の用事ができたので」

「もてる女はつらいわね」

「嫌味は寮に帰ってから聞きますので。では失礼します」

私はリナさんが乗ってきたタクシーに乗り込むと大学に向かった

「表向き今回の狙撃はエヴァパイロットを狙ったものとして処理されるそうよ」

「そうですか?」

「カオリ、狙われるような理由に身に覚えはあるのかしら?」

ありすぎて困るがここはないというしかない
巻き込むわけにはいかないからだ。これ以上迷惑をかけるわけにはいかない

「私にはさっぱり」

「とにかく気を付ける事ね。あなたがネルフで事情聴取を受けてから裏の組織に動きがみられたわ」

裏の組織、おそらくゼーレの事を示しているのだろう
彼らも私の正体を知りたくて仕方がないはずだ。私は寂しいのかもしれない。
海岸の町で出会った捨てられた猫のようにさまよっていた私、
そんな私を放り出さないで保護してくれた両親、その事を思うと巻き込むことはしたくなかった