大学の学生寮に帰ってくると私は自分の部屋に戻った
部屋に戻ると私はすぐにお風呂に入り、お風呂から上がると着替えてベッドに横たわった
ため息がまたしても出てしまった

「まったく苦労する人生ね」

急激な変化に私はついていけないところがあった
まるで神様に試されているかのように感じられたがそんなことがあるはずがない事はわかっていた
だって、神様は『僕』なのだから
他に神様がいるのなら是非とも会いたいものだ

『トントン』

「誰ですか?」

『ルミナよ。あなたに面会希望をお願いしている人がいるんだけどどうする?』

ルミナさんはどうやら寮長から伝言を任されたようだ
私はとりあえず部屋のドアを開けると誰が面会希望なのか質問した

「カオリ、ごめんなさいね。私もこんな時間に非常識だって断ろうと思ったんだけどそうはいかない相手で」

ルミナさんがそれほど困る相手となると、面会希望者はかなり限られてくる

「誰なんですか?」

「それが加持リョウジさんって人なの。断ったんだけどどうしても急ぎで会いたいって」

あの展望台の事を追求したいのか。それとも何か別の動きがあるのか
気になるところではある。私はとりあえず会う事にした
ここで断って面倒な事になるのは避けたいし、何かあるならあちらの状況を把握しておきたいからだ

「悪いね。こんな時間に」

加持さんは部屋に入ってくるとそう声をかけてきた

「面会したいという理由は何ですか?もう時間もかなり遅いですし」

「渚カオル君を守ってくれたみたいだね」

「その件についてお話がしたいなら警察を通してください。ネルフにお話をする理由はありませんので」

「少しは協力してくれないかな。シンジ君のためにも」

「彼の名前を出したら私が何でも協力すると思っているんですか?はっきり言ってバカな考えです」

「シンジ君は君に何を託したのか教えてくれないか」

「彼は正義を求めていたのにネルフは自分たちの罪を隠ぺいした。それどころか自分達を英雄だと主張した」

「否定はできないところがつらいね」

「だからこそ彼は自らの命を懸けて幕を下ろした。利用される事を恐れて。私としては正しい判断だっと思うわ」

これは『僕』の考えである。
もし碇シンジとして現れたらネルフに英雄として、
利用されていたことは容易に想像がついていたからだ
そんな人生なんてどんなにお金を積まれても愛情があってもお断り
私は今のこの人生に満足している。

「本当の事を聞きたいところだけど、シンジ君を止めてくれなかったのかな?」

「碇シンジ君は自分が利用されることを恐れた。ゼーレの傘下にいたネルフに利用されることはね」

そのことはあなたでも理解できていたはずですよねと私は加持さんに伝えた
私は利用されることなど望んでいない。もうエヴァパイロットとして利用される事なんて嫌だからだ

「君を逮捕するだけの材料がそろえる事ができるなら、こちらとしても逮捕したいと思っている関係者は多いよ」

「でも逮捕はできない。碇シンジ君の遺体がない以上殺人罪には問えない」

それに仮に状況証拠だけで立件しても私が『碇シンジ』を殺したという明確な物証はないのだ
ただの状況証拠に過ぎない。検事は裁判を諦めるだろう。勝ち目のない裁判などしたくないからだ