私とルミナさん、そしてこの高校の図書部の顧問の先生と一緒に図書室に向かった
校内は今日は休日だから静かだ。図書室に到着すると高校の図書委員会の生徒だろう
彼らは本の整理整頓を行っていた。その中には碇レイさんがいた

「水川カオリさん」

「碇レイさん。また会いましたね」

私としては再会などしたくなかったが、こうなる運命に
定めなのかもしれない。いつかは登っていくしかない峠道のように
越えていくしかないのだ。彼女は今日はどうして高校に来ているんですかと聞いてきた

「今日は図書委員会の仕事を手伝いに来たんですよ。私は大学で図書委員をしていますし、図書部に在籍しているので」

「そうなんですか」

「碇レイさんは本が好きなんですか?」

「文庫を読むのが好きなので」

「そうですか」

私はそっけないと言えばそうかもしれないがあっさりとした返事をして本の整理整頓を手伝う事にした
高校の図書室にしてはかなりの本が所蔵されていた。
ジャンルは様々で充実していた

「いろいろな分類の本がありますね」

「この高校にはいろいろとお金が支給されているので」

それはつまりエヴァパイロットである彼女のために多額の予算が下りているという事だ
公平性に欠けていると言えばそこまでの話だが。
彼らにとってはパイロットを損失する事の方がダメージは大きいのだろう

「カオリさんはどうして教師になる事を目指しているんですか?」

「戦場で戦いしか知らない子供に明るい未来を見せてあげたい。それだけですよ」

私の本心である。戦場などで戦いのみを信じるのではなく明るい未来を見せてあげたい
だからこそ私は教師になる道を選んだのだ。そのためなら多少の妥協も仕方がない。
それが今のこの状況だ。たとえ碇レイたちの学校だとしても、そこで学べるものを学んで将来につなげる
戦場に比べれば今のこの状況はまだまだ優しいものだ
未来を見せてあげたいのだ。多くの子供たちに。
私は戦場ではなく、明るい未来を見せてあげたいのだ
そんな事を思いながらも図書室の本の整理を手伝った
ルミナさんも一緒になってであるが

「この高校はかなり充実しているわね」

ルミナさんは所蔵されている本のリストを見てそう言った
私もその所蔵リストを見てかなり多種多様な本がある事に驚いた
よくもまぁ、これだけの本を集めたものだと
私とルミナさんは一緒に本が正しい位置に保管されているかを帳簿を見ながら確認していった
本の整理整頓は寮の自分の部屋にある本棚でいつもやっている事なので慣れた事である
もっとも、この高校の図書室にある本の寮に比べると私の部屋にある本の量は少ないが
それに図書委員会で本の整理整頓も何度か担当している
大学付属図書館に所蔵されている本に比べるとこの図書室にある本は少ないので問題ない
私達は帳簿に記録されている本を1冊ずつ確認していった