「ずいぶんと彼女と話し込んでいたわね?カオリ」

ルミナさんはかなり待たされたことにうんざりしていた様子だった

「いろいろとあるからね。ネルフとは」

「因縁があるって事かしら?」

「そういう事よ。ところでルミナさん。そろそろ図書室に戻らない?」

ランチも終わったことだしと私は言うと屋上から図書室に戻っていった

「カオリ、どうして彼らとの接触を続けるのか教えてくれない?」

「私は自分の信念を貫いているだけなの。未来を見るため、明るい未来を見せてあげたいから」

たとえ組織に属しているからといって将来の道を限定する事は誰にもできない事であると
それを私は実証したいのかもしれない。私にもわからない考えがあるのかもしれない

「とりあえず片づける事は多い事は事実だけど。私としてはけりをつけたい」

「どんな状況になってもかしら?」

「ええ、けりをつけるの。ネルフとね。他にもいろいろと接触してくるかもしれないけど」

「それって、最近テレビでよく言われているネルフの敵対勢力ってやつ」

「ルミナさんもそういう情報に興味があるのかしら」

ネルフサイドがゼーレが敵であることを示すためにフェイクニュースを流している
まったくもって愚かなものだ。真実から目を背けるバカな連中である
そんな事をしてまでも『綺麗な組織』だという事をアピールしたいのだと
いずれは草むらから大蛇が飛び出してくるかもしれないのに
ゼーレの大本は排除したはずだった。だが分派は存在する
だからこそ私を襲うような真似をした。それも比較的警備が厳しい敷地内で
第三新東京市というネルフのおひざ元で堂々と。
バカな連中だと侮っていられるような状況ではない
彼らはいずれかはエヴァパイロットを暗殺するか、誘拐する
そして自分たちに都合の良いように利用する可能性がある
神様の私としては私情を挟むのはご法度だが、一応『僕』だったころの友達だ
見捨てるような真似はできない。ギリギリのところまで粘って救助する
もちろん私の存在が表に出ない形であるが。ばれたらもう逃げ場は存在しない
情報が漏洩したらこの街から出ていくしかない。仕方がないのだ
海岸の町の家族やルミナさん達を巻き込むわけにはいかない
私とルミナさんは一緒に図書室に戻ると、今度は碇レイさんではなく渚カオル君がいた

「渚カオル君。あなたも図書委員会か図書部の部員なのかしら?」

彼は万人受けする笑みを浮かべるとこう言った

「読書が好きなので」

「ちなみにどんな本が好きなんですか?」

「僕はいろいろと読みますよ。本は貴重なものですから」

彼の言葉を聞くとルミナさんがまるで第2のカオリねと話した
余計な情報を与えるようなことをしてほしくなかったが止めるわけにもいかない
ここで止めたら怪しまれる可能性があるから。

「カオリさんは読書が好きなんですか?」

「私と一緒で大学付属図書館の図書委員で図書部の部員だもの」

「そうなんですか」

「ルミナさん。お喋りはここまでで。私達は勉強をするために高校に来たことを忘れないでね」

「わかっているわよ。カオリ」