「ルミナさん、カオリさん。本の整理に手伝ってくださってありがとうございます」

先生から感謝の言葉を言われると私は気にしないでくださいと言った
こういう事はいつもの事なのだから。大学付属図書館でよくやっている事なのだから
図書委員会の委員なのだから大学付属図書館の管理運営も手伝っている
だからこそ図書館が購入する予定の本の中に自分が欲しい書物を紛れ込ますことができる
完全に職権乱用だが、今まで誰にも文句を言われたことはない
当然だ。大学付属図書館に所蔵されている本の管理をするのだから
図書委員会の委員になるのはかなり限られた人間だ
例えば図書館の司書を目指している人間など、本が好きな人間が多い
その時、渚カオルの額にレーザーポインターのマークが照射された。私はあの時のように彼を押し倒した。
そして大声で図書室にいる全員に伏せるように叫ぶと同時に窓ガラスが割れて銃弾が撃ち込まれた

「まったく。ネルフの警備ももっと厳しくするべきね」

私は後悔した。職員室に銃を置いていったことに
まぁ、このまま狙撃犯が逃げて、その後警察の取り調べが行われれば
銃を持っていた私は言い訳も苦しいが

「とにかく伏せていなさい。誰がターゲットなのかわからないところがたちが悪いわね」

「助けてくれたんですか?」

「渚カオル君。あなた達は自分の価値をもっと理解する事ね」

エヴァパイロットとしての価値をねと私は彼に伝える
その間も図書室に弾丸が撃ち込まれてきていた
どうやら今回はあきらめるつもりはないようだ
こっちには攻撃手段はない。ネルフの保安諜報部に任せるしかないのが現状だ
こちらの手の内を見せるわけにはいかないのだから仕方がない

「まったく、迷惑な連中ね。ネルフもゼーレも」

私はポケットからあるものを取り出した。携帯電話だ。
ある人物に連絡を取った

「加持リョウジさんですよね。いい加減に対応してもらえませんか。あなた方に迷惑をかけられるのはごめんなので」

そう、ネルフから出る前に加持さんから名刺を渡されたのだ
何か協力する気があれば連絡をしてほしいと言われて
私としてはそんなことをしてやるつもりはなかったのだが
今回は早急に対応してもらわないといろいろと困る

『分かっているよ。名刺を渡しておいてよかったようだね』

「不幸な手紙だと思っていたのですが、まさにその通りになりました。今後は私は協力しませんから」

『だけど君のおかげで大事な彼らを守れたことについては感謝しているよ』

「高くつきますから。貸しですよ」

『分かっているよ』

加持さんとの通話はそこで終わった。それから少しして銃弾は入ってこなくなった
気配もなくなった。もちろんこれは神様の特権で悪意があればすぐにわかるようになっている
ネルフを助ける事になるとは嫌な話だ