本をゆっくりと読んでいると時間はもう夕方を迎えていた
私は本を本棚に戻すと帰宅する事にした
碇レイさんやアスカさん、渚カオル君も帰る事に

「バス停まで一緒に行っても良いですか?」

少し嫌な感情が出そうだったけど我慢した
今は耐える時であると

「良いですよ」

私達は図書室の鍵を閉めると職員室に鍵を返してからバス停に行くことに
校舎を出るともう夕日が見える時間になっていた
私は教師になるために勉強をしている。そしてもう大丈夫なのだ
だって私は『碇シンジ』ではない。でも、私は碇レイさんにある事を伝える事にした

「碇レイさん。碇シンジ君のお墓の場所をあなたのお母さんに伝えておいてもらえますか」

「碇君のお墓はないって」

「あの時はネルフに真実を話す価値がないと思っていたから。でも考え直したんです」

もちろんこれは嘘だ。碇シンジのお墓の場所を教えれば私の事を諦めてくれると考えたからだ
もう過去に囚われたくない。未来を見て歩みを続けたいから
そのためなら、多少の譲歩をしても良いと考えたのだ
せめてそれが碇ユイさんたちの『囚われている過去』、それを忘れてほしいと思ったからだ
人は前に進んで生きていくしかない。過去ばかり見ていては後悔しか考えられない
私は1枚のメモを渡した。それは今朝ルミナさんと一緒に行った墓標がある場所を書いた地図だ

「ここに碇君のお墓が」

彼女はそれを受け取るとどうして渡してくれたんですかと聞いてきた
私はただの気まぐれですと答えるとさらにこう続けた

「遺骨などはないただの墓標にしか過ぎないですけど。彼が生きていた証には違いはないことですから」

そう言うと私達はバス停に到着した。彼らと私が乗るバスは方向が違うので
碇レイさんたちが乗るバスの方が先に来た。彼らはバスに乗り込むと帰宅していった
私の家がある寮の方向に向かうバスはそれからすぐ後に来た
それに乗り込んだ。あとは寮に帰るだけである。

「そう言えば晩御飯。どうしよう」

冷蔵庫は空っぽ。食材はないしお弁当も買ってきていない
どこかで調達する必要がある。いくら神様だからと言っても空腹を訴える感情には逆らえない
たまには寮の食堂を利用する事にした。今からならちょうど夕食の時間に間に合う
高校に来た時とは逆方向に進む車窓を眺めながら寮に戻った。
寮に到着するとちょうど夕食の時間だ。私はとりあえず食堂で夕食を取る事にした
今夜の晩御飯を何にするか悩んだ結果、カレーを選んだ。
カウンターでカレーライスをもらうとテーブルに着いた
するとルミナさんもカレーライスを持って私と同じテーブルに来た

「カオリ!また高校に行ってきたの?」

「あそこにはどんな本があるのか興味があったので」

ルミナさんからは本当に本が好きねと言われた。まぁその通りだが