私は留置施設で加持さんと1対1となって話を始めた

「君はかなり今の状況を楽しんでいるみたいだね」

「そう見えるならそうなんでしょう。私にはどうでもいいことです」

「シンジ君とはいつ出会ったのかな?」

加持さんの当たり障りのない話で私から情報を引き出そうとしてくる感触を感じていた

「話せば長くなるからやめておくわ。彼からこう言われた。ネルフに関わって生きていた者はいないのと。どうせ殺すなら殺せばいい」

「ずいぶんと自分から喋ることはないと自信があるみたいだね」

「あなたこそ余裕があるみたいだけど、彼に責任を押し付けた。何もかもね。ゼーレの犬だったくせに」

加持さんはゼーレの鈴だった。ただしあまり機能していたとは言えないが。
今ゼーレの残党がどこにいるかは知らないが。私はネルフにもゼーレにも情報を渡してやる気はない

「そういわれると俺としてもつらいところだね。簡単な質問から始めよう。君はいつこの世界に戻ったのかな?」

「私は2年前に戻った時に彼と出会った。その時、世界は生まれ変われると信じていたのに裏切られたと言っていましたよ」

「ほかに何を言っていたのかな?」

「加持さんというのはあなたですね。伝言を聞いています。畑を守れなくてすみませんと」

彼は私に君はずいぶんとシンジ君と親しくしていたんだねと返してきた
確かに私としても畑の事を話すことで情報の精度を上げて。
ネルフ側にさらなる混乱を招いてやるという、いたずらのようなことを考えていた

「君は本当にシンジ君と知り合いのようだね。俺の畑の事を知っているとなるとそれもかなり親密な関係だったのかな」

「それはあなたと葛城ミサトの男と女の関係みたいと言うなら違いますからお間違いなく」

「君は俺が思っていたよりよほど詳しいみたいだね。興味がすごく出てきたよ。それでほかに何を教えてもらったのかな?」

私は当たり障りのない内容で話を続けた

「あなたがゼーレと日本の内務省とネルフの3股をしていたのは家族が死んだ本当の理由を知りたいから。当たってますよね?」

「確かにそうだよ。それでシンジ君は死んだと言っていたよね。君が死ぬ方に仕向けたのかな?」

「私は彼にこういっただけです。決断した結果は自分が考えた中で最もベストなものだと」

「それが自殺だとしてもかな?」

「あの時彼は周りに迷惑をかけたくなかった。だから私に最後の伝言を残して自らで幕を引いた。私は彼の語り部でしかない」

「ほかに君に仲間はいるのかな?」

「私だけと思っているならそう思えば良い。私達はグループで行動しない。スタンドプレーによって生じたチームワークだけが繋がり」

私はそれだけよと言うと小グループだけではないというように話を誘導した
こうすれば彼らはより警戒する。もしかしたら第2、第3の私のような存在が現れるのではないかと
見栄を張っているだけでも重要だった。私の狙いはうまく彼らの思考を困惑の方向に誘導すること