「死ななくてよかったですね。碇ユイさん」

私は冷たい声でそう言った。
本当なら助けるつもりなどはなかった。
『僕』をさんざん利用して最後には切り捨てたのだから
ただし、私としては立場上、助けないわけにはいかない
だって、『碇シンジの代弁者』なのだから
私はとりあえず銃を持っていたことを隠ぺいするために仕方なく交渉する事にした

「碇ユイさん。私が銃を持っていたことは黙っておいてくださいね。命を助けてあげたんですから」

私はあなたの命を助けてあげたのだから当然の権利だといわんばかりに主張した

「・・・・・・・・・・わかったわ」

彼女は納得していない感じだったように思ったが、私が助けたことは事実だ

「高波教授もお願いします」

「わかっているよ。それにしても君は本当に苦労しているようだね」

「綺麗事だけでは生活できないことはわかっていましたので」

事実そうだ。世の中綺麗事だけでご飯を食べる事はできないのだ
問題なのはどこの連中かだ。狙いはおそらく私であることはわかっている
ゼーレは私の事について必死になっている事は想像できていた

「それにしてもどうしてこんなにトラブルばかり発生するんでしょう」

「それは君が美人だからじゃないかな?」

「どうしてそういうことを言うんですか。怒りますよ。高波教授」

私は自分が美人だといわれることについては禁句なのだ
もし言われたら、言ってきた相手にこれでもかというぐらいの仕返しをしている
その事実を知っている者は大学でも有名な話なので、わざとその話を振るものは茶化す時にしか言わない

「高波教授。次そんなことを言ったら本気で怒りますから」

ようやく第三新東京市警察の刑事とネルフの保安諜報部の職員が駆けつけてきた

「碇ユイさん。私はあなた達を許すことはないので協力はしません。彼が語った真実を聞いて怒りを覚えているので」

これで接触がなくなれば良いのだが
とりあえず今後の事について口裏を合わせておく必要がある。
碇ユイに貸しを作っておいた方が何かと都合が良い。
その後、銃については襲撃犯から奪ったという事にした
仕方がない。新しい銃を手に入れるしかない
身を守るためには必要なのだから。とりあえず警察の事情聴取を受ける事になる
彼らは狙いがネルフの幹部である碇ユイだと思っているだろうが実際は違う
間違いなく私がターゲットだ。手段を選んでいないことはこれではっきりと分かった
今後の事を考えると面倒な事になる。どうして銃を持っていたのかなど厳しく追及されるだろう
言い訳を考えておかないといけない。私関係でもうトラブルは何件も発生している
警察も私が狙われているのではないかと勘づく者もいるだろう
ここ数日でこれだけ私関係で狙われているのだから
おまけにネルフの保安諜報部の動き出す
厄介なのはそこだ。警察は何とかなってもネルフまで動かれると身動きが取れなくなる
一応民間人という事なのだから。何度も言うが面倒はごめんだ
その後警察の事情聴取を受けてとりあえず寮に帰宅する事が出来た
今後の事についていろいろと考えながら自室のシャワーを浴びていた
忌まわしき過去がどこまでも私のそばから離れようとしない
迷惑な話だ