私はルミナさんの入院に必要な手続きをすべて行う。
また入院に関して必要な費用はとりあえず私が立て替えておくことにした
別に特別にお金に困っているわけではないので、あとでルミナさんからもらえば良いと考えていた

「あなたは患者さんとはどういう関係ですか?」

私は事務員の言葉に何と答えればいいか困ってしまった
家族というわけではないし親戚というわけではない。
だが最も親しい親友という事で今回は少し強引であるが無理くり話を通してもらった

「わかりました。ご家族とは連絡が取れますか?」

「私の方で連絡をしておきます」

明日、こちらに来れるようにお願いをしてみますのでと伝えると事務員さんはわかりましたと答えた
事務員さんはでは手配の方はお願いしますと承諾してくれた
とりあえず急いで海岸の町に住んでいるルミナさんの両親に連絡を取らないと
ルミナさんは海岸の町で1人暮らしをしている。もちろん本当の両親も同じ町に住んでいるが
あえて自分にプレッシャーを与えて勉強に弾みをつけようと1人暮らしを始めたと何度か話を聞いたことがある
だから一応連絡先は聞いている。もしもに備えてだ

「とりあえず連絡しないと」

私は病院内にある公衆電話を使ってルミナさんのご両親に連絡をすることにした
病院内なので携帯電話は使えない。マナーは守らないと

「すみません。私は水川カオリと言います。ルミナさんの友人の」

『カオリさん。お久しぶりですね。何かありましたか?』

電話に出たのはルミナさんのお母さんだった
私はありのままの事を伝えるとルミナさんのお母さんからご迷惑をおかけしてすみませんと言われてしまった
別にそんなに気にしていないし、親友なのだからこれくらいの事は当然のことだ

『今日の夜に荷物を用意したらそちらに行きますので』

「わかりました。病院の方にも私から話を通しておきます」

『ルミナがいつも本当にお世話になっていますね』

「お気になさらないでください。私もルミナさんにはいろいろと迷惑をおかけしているので恩返しができればと」

私は入院手続きは問題なく行っていますのでと伝える

『入院費用も負担していただいたんですか?』

「医師の診察によるとインフルエンザだという事なので、今夜一晩入院すれば治るそうです」

『いろいろと娘がお世話になっています。明日の退院の時にはそちらに行けるようにしますので』

「わかりました。大学には私の方から話をしておきます。病気では仕方がありませんし」

ルミナさんのお母さんは何から何まですみませんと丁寧に謝罪をしてくれた
私はむしろお節介すぎたかなと思ってしまったほどに
とりあえず状況を伝えると通話を終えた
そこに私のこの街での保護監督者である高波教授が駆けつけてきた

「高波教授。どうかしましたか?」

「ルミナさんが病院に行ったと聞いてね」

私は状況を洗いざらいすべて話すと、それは大変だったねと頭をなでてくれた

「臨機応変な対応だね」

「教授。私は子供じゃないんですよ。頭をなでられて喜ぶような子供じゃありません」

私の言葉に教授は私はまだまだ子供だよと言った
確かにそうかもしれない。教授からしたら私はまだまだ幼い子供だ

「インフルエンザだと寮内の全生徒の集団検査が必要だね。学長には僕から伝えておくよ」

確かに教授の言うとおりだ。
感染症であるインフルエンザが寮内で集団発生したら大問題だ
できるだけ早期にワクチン接種などの封じ込め措置が必要になる