私は部屋のベッドで横になっていた。リナさんはシャワーを浴びている。
リナさんはときどき私をからかうようなことをしてくる
私と一緒に暮らしてみないとか。冗談であることは分かりながらも恥ずかしく感じたりする
一緒に暮らせばいろいろなところから狙われることは容易に想像できる
だからそんなリスクを背負うわけにはいかない。その時、この部屋をノックする音が聞こえてきた
明らかに危険な人が来たかもしれないと感じた。ここに私がいる事を知る者はかなり限定されてくる
またしても私を狙いに来たのかもしれないと思い、リナさんがさっきまで整備していた銃を無断拝借して警戒した
強行突破してくるかもしれないから。もう『昔の僕』のように流されることはしない
目の前の真実から目をそらさず真正面から突破することを覚悟している
私がどれほど危険な状況下に置かれてたとしてもいろいろと逃げ道は用意できる
でも親しい友人や私を大切に思ってくれる両親を人質にされたら選択できる行動は限定されてくる
選択できる行動の数が多いうちに私はすべてを破壊しなければならないと考えていた

「誰ですか?」

『ルームサービスをお持ちしました』

もちろん私はそんなものを頼んでいない。
だから私はそのように伝えると次の瞬間、金属がすれる音がした
とっさに私はリナさんが持ち込んでいた銃のスライドを引いて弾をいつでも撃てる状態にした。
射線上から少しずれて隠れるとすぐにアサルトライフルでも使っているのか銃弾が次々と飛んできた
派手な事だ。誰を殺したいのかは知らないけど、ここまで派手に動くことは死を覚悟しているのだろう
こんな一般人がいる所で堂々と行動するぐらいだ。後先考えていないと思うのは当然である

「犯人はプロみたい」

携帯電話で通報しようとしたが圏外になっていた
無線妨害をされているのだろう。本気で私を消すことは確実である
リナさんが持っていた銃に私の命がかかっている。それにほかの人を巻き込むわけにはいかない。
私は窓から飛び降りる覚悟もできていた。私は『神様』に近い存在なのだ。
インチキみたいなことは簡単にできる。
この部屋の窓はすでに部屋のドアから撃たれている銃弾によって破壊されている
あとは私の『覚悟』だ。もし『神様』と同じ権限を行使すればリナさんに私の『存在理由』が知られることになる
私の存在がどれほど穢れた者なのかを見せるのは正直なところ、嫌ではあるが
リナさんを死なせるわけにはいかない。私のためにいろいろと手伝ってくれた
見捨てることなどできるはずがない。その時、シャワーを浴びていたリナさんがリボルバーを持っていた
私に目で合図を求めていた。私はとりあえず、手に持っている銃を発砲。1発だけ相手側に撃ち込んだ
こちらも武装しているということを示せばあちらも無茶なことはしてこないと
いくら銃弾を連射してくる連中でも、時間をかけている暇などはないはずだ
ネルフのおひざ元である第三新東京市でこれだけのことをするにはリスクが高すぎる
そんな無茶はいづれ破綻する。引き際を見極めてくることを想定していた

「カオリ。粘るしかないわね」

リナさんは分かっていた。このまま進めば犯人たちはすぐに逃げるだろうと。
それからしばらくして銃弾によって破壊された窓からパトカーのサイレンが聞こえてきた
それと同じように銃声が鳴りやんだ。そして駆け足の音が聞こえてきた
逃げたようだ。次の問題はこの問題をどうやって解消するかだ
もうこれで何度目の警察との事情聴取になるのか
簡単に言い訳は通用しない。何か良い言い訳で切り抜けるしかない