銃撃戦が終了した私達のホテルの部屋では多くの第三新東京市警察の刑事が集まってきていた
厳しい取り調べになる事を覚悟していたが、リナさんがいろいろと工作してくれたようだった

「リナさん。いったい連中は誰なんですか?」

「市警察の友人に情報を回してもらえるように手配したわ。指紋とDNAで何かヒットするかもしれないから」

リナさんは警察組織にも知り合いが多いようだ
国連軍に所属していたのだから当然といえばそうかもしれないが
今の私にとって重要なのは今後の対応方法だ。
どうやら私の身柄を欲しがっている連中はなりふり構わずの方法に出たようだ
どこに逃げても無駄だと言いたいのかもしれないが、こちらも黙っているわけにはいかない
今日の夜の宿は再び変更ということになり、第三新東京市警察の官舎で眠る事になった
ちなみに要人警護並みの警備態勢を敷くことになったと
つくづく私は迷惑なくじを引いたと感じた。
どこまでやるつもりかはわからないけど、敵は徹底抗戦の構えだ
市警察の官舎と言っても、設備としてはホテルと同じだ
ツインルームであることから私とリナさんはそれぞれのベットで眠った
ちなみに私とリナさんのどちらもが枕の下に銃を隠していた
いつ何が起きるかわからないのだから、当然な対応である
ちなみに私達が泊まっている部屋の前には市警察の刑事が交代で警護してくれている

「なんだか落ち着かないですね」

「カオリ。少ししたら慣れてくるわ。今はゆっくりとしましょう」

「それにしても、ネルフの管轄内である第三新東京市で攻撃を仕掛けてくるなんて根性がありますね」

私の言葉にリナさんもそれには同意見よと答えた
できる事ならこれ以上争いをすることは嫌である
でも、私と大切な友人を守るためには手段を選んでいる余裕がない時は、
そこまで追い込まれたら私はきっと『とんでもない方法』を使って問題解決に動くつもりでもある
大切な人をもう失うことは嫌なのだ。私の存在がそうさせるなら手段を選んでいる余裕などない

「ねぇ。カオリ。あなたはどういう立ち位置にいるの?」

「私は守ろうとしているだけなんです。戦争などによる犠牲者が少しでも減る事を願いながら」

私は何の罪もない幼い子供たちが戦闘員として『利用』されることをやめたかった
だが実際はそういうわけにはいかない。今も南極大陸が『あの事件』の前のように凍り付いている
その影響で海面の高さは大幅に下がり領土問題が発生している
領土問題が発生したことにより各国では領土の主張が続いている
国連では平和的に解決しようと動いているが、利権が絡んでくると誰もが主張してくる
言葉で解決することなどは少ない。軍事衝突が起きる事が頻発している

「もし神様がいたら、随分といい加減な対応をしているわ。自分の責任を放置しているのだから」

「でもそれは仕方がないこと。人が生きるのに争いはつきもの。あなたが昔教えてくれた言葉よ」

そう、私はずっと思っている事だ。人が生きていく過程で争いのない世界など存在しない
必ずどこかで小規模かもしれないが争いが起きるものだ

「世界が気付くころにはすべて事は片付いている。私の昔馴染みがよく言っていたわ」

真実を知った時にはすでに手遅れになっているとリナさんは言った
彼女の言う通りだ。真実と言うのは素早く漏れたものは真実かもしれないが
少しでも流れが遅い情報はどこかで改変されたものの可能性が高い

「カオリ。あなたはどうしてネルフにあれだけ狙われているの?」

「世の中に走らない事がたくさんあるって言いますよね?」

私のセリフにリナさんはつまり知っているということかしらと聞き返してきた

「何も語る事はないです。今、大事な事は私が自由に勉学に励めるところを確保し続けること」

私はそう言うとベッドサイドの照明を消した