ルミナさんは治療のために第三新東京市に戻ることになった。
代わりにティアさんが駐在してくれることになった。私とユウさんは昼食を食べるために旅館に戻った
いつも通り食堂に行くと、私用の小食メニュの昼食が出された。
隣に座ったユウさんにはエネルギーがたっぷり詰まったメニュだった
私には1日分に相当するメニュだった。私達は同時に食べ始めたが、食べ終わるのも同じタイミングだった。
食事を終えると私達は部屋に戻ろうとせず、再び砂浜に向かって歩き出した。もちろん懐中電灯をお母さんに渡されたが
お母さんには夕食には帰ってくるのよと言われた。それはいつもの事なので。
ただ違う事と言えばいつもは1人だが、今日からはユウさんと一緒だ

「カオリちゃんはいつも同じような日常を過ごしているのかな?」

「はい。あの砂浜に行くのは運動不足解消です。ずっと部屋にいたら、体が鈍りますから」

確かに旅館から砂浜まではそれなりの距離があるため良い運動になる。
それ以外にも気分転換もある。ずっと旅館にいたら息が詰まるときがあるからだ。
それに今日は朝からいろいろとあった。砂浜でゆっくりと過ごして息抜きをするのが一番だ
いつも通り砂浜に到着すると、今日は靴を脱いで海の中に入っていった

「カオリちゃん!」

「ユウさん。死ぬつもりはありませんよ。ただ、水の冷たさを感じたいだけですから」

私は死ぬつもりはない。まだまだ生きていくのだ。この広い世界で。
ルミナさんには申し訳ないけど、今回の一件で、ネルフはさらにこの町に介入する事は難しくなっただろう
それだけは間違いない。ティアさんがそう言っていたからだ。監察局にとっても圧力をかける理由ができた
正確には脅しという名の圧力だが。殺人未遂の件を公表されたくなかったら、介入するなとでもいうつもりだろう
あまり好ましい方法ではないとは思うが。最も効果的な方法である。
私としては彼らが来ることがないならどんな手段を取ってもらっても構わない
私の家族と大切な友人に影響がなければ

「カオリちゃん。海は好きかい?」

「あまり好きとは言えないですね。どうしても思い出してしまうんです」

「詳しい事は聞かないよ。その方がカオリちゃんのためみたいだからね」

ありがとうございますというと私は膝下まで海水につかるまで海に入ると、そこで立って風景を楽しんだ

「カオリちゃん。君のことは必ず守るからね。何度も言うようだけど」

「信じてます。ユウさんのこと。それに」

「それに?」

「私だって精一杯生きて、自分で自分のことは守ってみたいですし!」

私は沖合に向けていた体を振り返ってユウさんの方向に向けて言った