第三新東京市 碇家 リビング 朝食の時間

私ははっきり言って低血圧だから目覚めは良い方ではない
でも最近は悩み事ばかりで眠れない事が多いので睡眠薬を処方してもらっている
あの事件から私達は完全にこの街から出る事を禁止された。
どうしても知りたいのに私達にはその権利はもうないのだと。
さらに言えば最近は監察局の職員からの監視が強化されている
それほどまでにあの町には大きな秘密があるのだ。いえ、どんな秘密はもう分かっている
でもそれを守ろうとする人間が多すぎる。ネルフ内にも。私達と同じ立場にいるはずの渚カオル
彼もそのうちの1人だ。あの町の秘密をかなり知っているようだ。だからネルフからの監視が強化されている
本人もそれを自覚しているようで最近は大人しくしているが。私達の行動を監察局に報告している事は分かっている

「どうやら、最近僕は君に嫌われているみたいだね」

「事情を知っているのに説明をしてくれないから。どうしてなの?」

「僕には言う立場にはないからね。許可されていないから。言っておくけど拷問されても吐かないよ」

そう言うといつものように朝食のトーストを食べ終わるとすぐに高校に向かった
マンションで隣の部屋に住んでいるアスカも私が出るのと同時に家から出てきた

「レイ、あいつ。何か喋った?」

「いえ、秘密を抱えていることは間違いないけど」

「私達の知らない事を知っているくせに知らないふりなんて最低ね」

そう、彼女の言うとおりだ。私達は答えを求めている
その答えを持っているのは彼だ。おそらくではない。確実に答えを持っている
にもかかわらず答えてくれない。真実を知るのがそんなにいけない事なのか
ようやく平和になったこの世界で安定した世界。だから真実を知ろうとした
碇君の真実。サードインパクトの真実。そのすべてを知っているであろうあの女
それらを知ろうとすることを阻む固い壁が、まるで鉄の壁のように高くたっている

「どうするつもり?もうこの街からは出る事はできないわ」

「わかっているわよ!今手段を考えているところよ。真実を知る方法ね」

「カオルを徹底的に攻めてみない?強引にでも」

「あいつは絶対にダメ。私達の行動が監察局にすべて筒抜けになるだけよ。下手に接触したらすべて終わってしまうわ」

確かにアスカの言うとおりだ。すべて彼に喋ってしまえばすべて筒抜けになってしまう
そういったことはやめておきたい。これは私とアスカとの共同作戦なのだから
他に洩れる事はあってはならない事だけど、今の私達にはもうどうする事もできない。
アスカはバイクは返されたが発信機が取り付けられた為、市外には出れない
もう詰まれている状況なのだ。

「とにかく今は冷静に考えましょう。アスカ」

「そうね」

今は冷静に対応する事が必要だ。そうでなければまたミスをすることになることは確実だからだ