私はどうするべきなのか悩んでいた。缶コーヒーを飲みながら。
決断は自分が選んだベスト。その言葉が私の頭の中を駆け巡っていた。確かにその通りなのかもしれない。
私はこの箱庭の町で暮らし続けるのも良いかもしれないが。それではいつまでも怯えたままの小鳥だ
それでは大人の鳥になる事はできない。永遠に。

「どうしたら良いの?」

そのとき、私はあの手紙を思い出した。私はそれを取り出すと少しびくつきながら内容を読み始めた
あの碇ユイからの手紙。内容はシンプルなものだった。お互いに本音で話をしましょうと。
それも第三新東京市のどこかの喫茶店で今回はネルフも抜きで個人的に。組織などを利用しないで
私はそれを読んでどうしようかと悩むことになった。選ぶ時なのかもしれない。
自分の運命を。私の未来のためにも。永遠にこの町で過ごすに
人生でたった1度きりのラストチャンス。この海岸の町で暮らし続けるための選択肢なのかもしれない
よくドラマであるような運命の選択の時。その時が迫っているのかしれない

『トントン』

私はすぐに手紙を金庫に隠すとドアを開けた。そこにはお母さんが立っていた。

「カオリ、あなたに会いたいって人が来ているの。私達としては追い返したいけど、あなたの意見を聞いてからにしたいの」

「誰がきたの?」

碇ユイ、あなたの血のつながった本当の家族よと私のお母さんは嫌そうに言った
お母さんも私が彼女のことを毛嫌いしている事を良く知っている。だからあんな言い方をしたのだろう
私は会うべきかどうか悩んだが、ラウンジで少しくらいなら話をしても良いと返事をした
遅かれ早かれ話をしなければならない時が来るのだ。なら今、話をした方が良いと思ったのだ
その代わりある条件を付けた。それはユウさんとティアさんの同席だ。もしもの場合に備えておいた方が良いと判断した
彼女だけで来ているという保証はどこにもない。もしかしたらまた誘拐目的で来ている可能性もある
ユウさんは同じ隣の部屋に住んでいるので、ティアさんは数分でやってきた

「お久しぶりですね。カオリです。碇ユイさん。またお会いできましたね」

「今回は私1人だけよ。護衛もなし。個人的にあなたと話をしたかったの」

「前回は違ったと?」

私の棘のある言葉に彼女は表情を硬くした。確かにその通りだ。前回と今回とでは状況が全く異なる。
前回は誘拐。今回は友好的に。まるで手のひらを返したかのような対応にやり方だ

「あなたはどうしてこの町にいる事を望むの?」

「私がそう願っているから。それは今までも変わらないしこれからも変わらない事実」

「箱庭でも?」

「箱庭でも、生きている事には変わりない。この町が私を追い出そうとするまでは永久にこの町で生き続ける」

箱庭でも生きているという事実は変わる事は無い。だからこそ、この町で生きているのだ
それが私の望みなのだ。この町が私を受け入れ続ける限りこの町で生き続ける
それこそが今の私の生き方だ