第三新東京市 市内にある喫茶店

「なぜ戻る気になった?」

「今のネルフは退屈だから。それ以外に理由が必要かな。それに僕は元は自由の存在。ネルフに干渉されるのは好きじゃないからね」

僕はもっともらしい事を言いながらゼーレの連絡員と話をしていた
これがどれだけリスクのある事かは承知の上だ。だが情報は多い方が良い。

「それで、ネルフでも噂になっているよ。あの町での騒動のことがね」

「あれは我々の仕込みによるものだ。裏切者には制裁をしなければな」

僕の予想通りの展開になっているようだ。裏切者には死を。それがゼーレでの掟なのだから仕方がないが
それが世界に及ぼすことを彼らは理解しているのか疑問視したいところだ

「なら僕も気をつけないとね」

「ああ、そうだな。裏切者は特にだ。だが貴様は違う。我々の任務を全うして死んだ。なぜ生きている?」

「今の僕には人と同等の力しかない。神様が人間にしてしまったからね」

「彼女のせいか。彼女が新しい神だと?」

「それはわからない。僕にはどういう存在なのかはね」

ゼーレも彼女の情報を掴んでいる事は分かっていたつもりだが。
こちらの想定以上の可能性は極めて高かった

「僕の最初の任務は何かな?」

連絡員はメモを渡してきた。受け取って中身を確認すると監視せよとのことだった。チルドレンを

「わかったよ」

僕の任務は決まってしまったようだ。僕はネルフの裏切り者になるがこれも彼女のためだ
裏切り者になったことに後悔はない。僕が犯してしまった罪の比べればこれくらいは軽すぎるものだ
謝罪をしなければならない。僕が喫茶店の座席から立ち上がろうとしたとき後ろにある気配を感じた
それは監察局の人間でネルフ内部に潜入している諜報員だ。

「ゼーレに協力するとは情報を得るためとはいえ無茶なことを考えたな」

「これも僕なりの罪の償い方です」

「殺されるぞ」

「それも覚悟の上です。これでも僕が犯した罪は消えません。大きすぎるのだから。僕の罪は」

リスクがあることは覚悟しているし、これくらいのことをしても僕が犯した罪は消えることはない
罪深すぎてとても償いきれるものではないということは十分自覚しているからだ

「局長から一言伝えるように言われている。もう後戻りはできなくなると」

「彼には分っていますとお伝えください」

僕はそういうと席から立ち上がると店を出て行った
するとすぐにネルフの保安諜報部の人間を確認することができた
こちらに接触するわけではないが遠巻きに監視をしていたようだ
彼らもわかっていたようだ。こうなることが
喫茶店から出てしばらく歩いていると加持さんから連絡が入ってきた

『相変わらず無茶な計画だと思うけど』

得られた情報は加持さん経由で回しますのでご安心をというと通話を切った
それ以上伝える必要はないし不用意な発言は問題になる