隣町 病院 ユウの病室
僕のところにルミナさんが来ていた
「あなた、まさか本気でじゃないわよね?」
「僕としては美女の願いは叶えてあげたいからね。軍の知り合いに声をかけるつもりだよ」
僕のその言葉に彼女の表情はあまりにも怒っている表情になった。当然といえば当然だが
元々、ゼーレのせいでこうなったのだから。火に油を注ぐような真似をするのかと言いたいのだろう
だが彼女はきっと僕が頼みを聞かなかったらもっと無謀な手段を取ることになる
だったら、僕がその願いをかなえてセーフティーになれば良い
「君が言ったはずだよ。小鳥はいつか巣立つはずだと。それが彼女にとって今が最も最高のタイミングなんだよ」
「確かに私はそういったけど、ここまで過激な行動を望んだわけじゃないわ」
「でも、君の願いは叶った。彼女は飛び立つことを決めた」
僕はそれを支援するよと言うと早速携帯電話で軍の知り合いに連絡を取ろうとしたとき、その携帯電話を取り上げた
彼女はこういった。私もその行動にかむと。あなた達だけには任せられないといって
「君が協力してくれるならいろいろと便宜を図りやすいし、彼女のコントロールが行いやすい。そうだね」
軍の調整はやってもらえるかなと僕が言うと仕方がないわねと返事をした
「あなたに任せるとろくなことにならなさそうだし。こちらでした方が何かと都合が良いわ。政府への交渉も必要だし」
あの子をこの国から出すだけでも大問題なんだからと彼女は言った
最終的には協力してくれることは想像がついていた。わざわざ危険地帯に行かせるような真似を
それも単身でいかせるようなことをさせるはずがない事は、わかりきっていたからだ
「でもこれだけは約束して。仮にどんな結末を迎えようと彼女を生きて戻す事。それだけは約束してくれるわよね」
「僕の命に代えてもね。傷一つなく帰してみせるよ」
そう、僕にとっても彼女の存在は大きいのだ。今の僕があるのは彼女のおかげだ
だからここまで大それたことをしようというのだから
リスクを覚悟してまでも
「それで、ゼーレについてはどこまで把握しているのかな?」
「すでにある人物から拠点についての情報を仕入れたわ。ある豪邸にキール・ローレンツがいることが分かっているわ」
「なら、なぜ監察局は摘発をしないのかな?」
「そこに踏み込むにはいろいろと面倒なことがあって。表向きはいくわけにはいかないのよ」
僕はこう予想した。まだ彼らには権力を握っているという事だ。恐らく圧力をかけるくらいの物だろうが
だから監察局は動けない。下手に動けばこちらの行動が露見する可能性があるから
それだけはあってはならない。もう二度と地球規模の災害を起こすわけにはいかない
おそらくそういうことだろう
「1つ聞いても良いかしら?もしゼーレに戻れと言われたらどうするつもり」
「悪いけどあんな連中に戻る事はごめんだよ。それに今は彼女のことを愛している。それだけは変わらない。永遠にね」
そう、僕には長生きできても100歳までだろうが彼女は違う。もし僕の予想があっていたら、彼女はこの後寂しい人生を送る
だから、それまでにたくさんの思い出を作ってあげたい。生きている事がどれほどいいものであるかということを