私の言葉に彼らが耳を貸す保証はないが。もう止める事はできない。
賭けに出てみたのだ。すると彼らはこういった。私1人なら良いと

「カオリちゃん。罠だよ!」

「そうよ!絶対にダメよ!」

ユウさんとルミナさんはそういうが私はもう歩みを止めるつもりはなかった
もう逃げないと決めたのだから。

「行きます」

「だめよ!」

「カオリちゃん!」

「止めないでください!私は過去と向き合うと決めたんです!」

私は思わず大声をあげてしまった。ゆっくりと屋敷に近づいていった。
ルミナさんとユウさんはホルスターから銃を抜いて警戒し続けていた

「キール・ローレンツさんはどこにいるのですか?」

屋敷に入るとすぐに私は問いかけると執事と思われる人物が現れてこちらですと案内してくれた
屋敷内は極めて落ち着いた雰囲気で纏められている。ただ、ところどころに美しい芸術品がある
まさに大豪邸に相応しい屋敷なのだが。人の気配がまるで感じられることがなかった
この家にいるのは多くても十数名ほどだ。ただしそれは私の感覚的な問題なのかもしれないけど
1階の最も奥の部屋の重厚な扉の前につくとこちらの室内にいらっしゃいますと言って彼はその場を去った
私は、少し手に震えを感じながら扉を開けた。そこには車いすに乗った老人が存在した。
ようやく会うことができた。すべての始まりを試みた人間と
私はポケットに入れている小型リボルバーに手をかけていた

「ようやく会えましたね。あなたに」

私は努めて冷静を保とうとした。
そうしないと、私がすぐに暴走するのではないかと思ったからだ
元々私の心を壊してまであの計画を進めた張本人だ
同情するつもりはないがきちんと話をしたかった。それも2人きりで。

「碇シンジ、「その名前で呼ばないでください!私は水川カオリです!」わかった」

「どうしてあんなことをしたのです」

私は話を聞くことを最優先にして冷静さを保っていた。
もしもあのまま碇シンジと言われ続けていたら、私は銃を迷わず取り出していただろう

「すべては我々が神になるためだった。だが結果は失敗だったな」

最後に神になったのはお前だったなと言われた時、私は銃を取り出してしまった

「あなたにとっては素晴らしい計画だったのかもしれない!でも私にとっては地獄の日々だったわ!」

「民を一つにまとめる事で世界は安定するはずだった」

「傲慢な考えですね。人はだれしも己の考えを持っている。1つの意志になることなどありえない」

だから平和にもなることも。そして戦争もあるのだからと私は反論した
そうだ。人が生きていくにはそういう争いごとは避ける事はできない
必ずどこかで起きてしまうのだ。それが人間というものなのだから
罪を背負って生きていくしかない。どんなに重い罪でもだ
だから人は成長する。そして改善をしようとする。だけど彼らは違う
全てを1つにしようと傲慢な考えで自ら神になる事だけを考えた