結局彼は逮捕された。だけど真実がすべて全容解明されることはないだろう
彼らがどんな罪を犯したのかは情報操作されている事はニュースを見ていれば知っていた
ネルフは正義でゼーレは悪。そんなのが嘘であることはよくわかっていた
ゼーレは上部組織。ネルフはゼーレの実行機関。それが真実なのに
その真実から逃れるためにネルフがした事は紛れもない隠蔽だ
だから許せないのかもしれない。ネルフも、碇ユイさんのことも
もう親でもないという認識を持てるのも
私はただ真実だけが知りたいだけなのに。それもかなわない

「カオリちゃん」

「ユウさん」

「もう終わったんだよ」

彼は私を抱きしめてくれた。これですべて終わったのだと

「僕が言っても説得力はないかもしれないけど、カオリちゃんは頑張った。だからもう無理はしないで」

優しく抱きしめながら私に語り掛けてくれた
これでゼーレとはケリがつくと思った。真実が明らかになるかどうかはわからない
きっとどこかで横やりが入る事は分かっているけど。
ネルフが黙っているとは思えない

「でもネルフが」

「彼らも監察局を敵に回したいとは思わないよ」

特にルミナさんは怖いからねと。

「どうしてルミナさんはそんなに恐れられているんですか?」

私には疑問だった。確かにルミナさんは真実を知っているのかもしれない
でもそれだけで影響力があるとは思えない。もし私の予想が当たっていたら彼女は私のそばにいた
あの時もずっと。だから私にやさしくしてくれるのではないかと思っていた
記憶が完全に戻ったわけではない。あの時のことを

「私は世界を狂わしたという事実は変わらない」

「でも君は世界を救った。終わってしまった世界を。死んでしまった世界を生きることができる世界に戻した」

それはカオリちゃんが正しい事をしたからだよとユウさんは言ってくれたが
私にはそれが正しい事だとは思えなかった。だって私は咎人だから
罪を背負っていくしかない事は分かっていても。理解できていてもまだ
その後私達は降り立った基地に戻る事になった。元々ここでの滞在は短時間で済ませる予定だったと
私はどこに行っても嫌われ者なのかもしれない

「そう言うわけじゃないけど、ここだとあなたを守れないの。今夜の便で帰る事が元々のプランだったのよ」

私とルミナさんが屋敷の外に出て再び車に乗り込むと車は基地に引き返していった
私は基地へと戻る道中で疲れていたのか緊張が解けたせいなのかどうかはわからないが眠ってしまった
私が再び目を覚めた頃にはすでに基地に到着しているころになっていた