第三新東京市ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室

私は突然秘密裏に会合を行いたいと言われたので監察局に来た
初めてのことだ。内密に話をしたいと。それもトップ会談をしたいとは。

「今後の対応ですが。我々としては今ネルフにつぶれられては非常に困るのです」

私はその言葉に驚いた。監察局からネルフ擁護の話が出るとは想像もしていなかったからだ
だがここは見極める必要があると考えた。裏では何をしているからわからないからだ

「どういう趣向ですか」

「あなた方が作り出した神様。水川カオリさんを守るためなら我々はいかなる対応もします」

彼女の真相を知っている者がいる事は気づいていたが、まさか蒼崎局長にまで知られているとは

「あなた方ネルフが犯してきた罪については問うことはあるでしょう。ですが彼女の存在に関しては隠匿しなければなりません」

ご協力いただけますよねと彼は私に話してきた
正直なところ私にもわからない。どう対応するべきか悩むところだ

「1つ聞きたい。監察局がどこまで把握しているのか」

ネルフの機密情報がどこまで蒼崎局長に知られているのか。私には確認する必要があった
なぜそれを把握していながら黙っているのか。そしてフィフスチルドレンである渚カオルがどう絡んでいるのか
状況把握をしなければならなかった。そうでもなければ動けるはずがない

「ネルフがゼーレの下部組織であったこと。あなたがゼーレとは違って碇ユイを蘇らせるためにさまざまに行った非人道的行為」

そのすべてを把握していると言ってきた。さらにレイの存在についても状況はすべて把握していると
レイの出生の秘密は決して明らかになっては困る。
ネルフがいかに非人道的な事をしてきたかを証明するようなものだからだ

「つまりネルフの第1級機密はすべて把握していると。なぜそれを国連に報告しないのかお聞きしたい?」

それだけの情報があればネルフ監察局など立ち上げなくても我々を潰すことができたはずだ
にもかかわらずそれを行わないということは、まるであの町を守るために存在している

「ネルフがつぶれれば他の組織が取って代わるだけになる。それでは何の解決にもならない。あの海岸の町を守るためにも」

そして私に彼はこういった。

「あなたももうご存じのはずだが、碇シンジ君の存在、そして水川カオリさんの存在によって我々監察局が生まれた」

「なぜ私にそこまで内情を話すか聞いても?」

「もうこれ以上ネルフがあの町に関わる事を止めてもらうためです。特に彼女に関わろうとする人物の行動に注視していただきたい」

これ以上我々に関わるなという事は国連から指示が来ている。国連だけではない。
主要先進国ですらあの町に手を出す事を禁じている。まるで決して侵してはならない聖域のように
私もシンジ、いや彼女に対してもう手を出すつもりはない。我々が彼女からなにもかも奪い取ったのだから
だから私の返事は決まっていた