私はユウさんと話を終えた後部屋に戻るとのんびりとしていた
今は何もする気にはなれなかった。ただ、ようやく私の止まっていた時計が進み始めた
そう感じられた。今までの私はどこか調子の悪い時計だったのかもしれない
それが正常に修理されてようやくまともに動くようになった

「幸せを大切に、か」

私はそう呟きながらロッキングチェアに座って外の風景を眺めはじめた
静かな時間だ。とても大切に感じれるくらいに
いつもならネコさん達が来るのだが今日は来る気配はない
まるで私の今の気持ちを理解しているかのようだ
だからなのかもしれない。どこかにさみしさを感じてしまうことは
私は咎人だ。神様の役割を果たすべきなのにそれをしようともしない
それでも良いように私の周りの人たちは私のことを守ってくれている
すこし迷惑をかけているようで申し訳ないように感じてしまう

『トントン』

ドアをノックされたので私は椅子から立ち上がるとドアの方の向かった
誰ですかと聞くとユウさんだった。ドアを開けるとユウさんが立っていた

「何かありました?」

「カオリちゃん。少し良いかな?」

「良いですよ」

私はそう言うとユウさんを招き入れた。
そして話を始めた。話と言ってもこれからどうするのかという話だ
もう私ができる事はすべてしたつもりだ。あとはすべて流れに任せようとしていた
私1人では泳ぎ切れいないかもしれないがユウさんもいるし

「私はこの町で静かに暮らしていこうと思います」

「じゃ、僕も付き合うよ。どこまでもね」

ただ、私はまだ彼らときちんと決別できていないように感じられていた。
確かに言葉では伝えた。でもそれは渚カオルを通してだ。
いづれ彼らは私の元に来るだろう。そうなる前にこの町には来られないようにしたい
もうこの町で争いの火種を起こしてほしくないのだ
平和で、喧嘩もないこの町で争いなどしたくない
この静かな町を邪魔されたくない。だから私はある事決めた
もう1度彼女たちに会おうと。

「本当にそれでいいのかな?」

「もう2度とこの町に触れてほしくないんです。ネルフには余計な邪魔はされたくない。私はただ静かに生きたいだけなのに」

「ルミナさんに話して刑事のIDを用意してもらうよ。できるだけ早くにね」

「その必要はありません」

どういう事かなと聞いてきた。私はこう答えた。正面から向き合わないと何も解決しないと
だから、目の前の現実を直視して生きていくと
刑事としての偽IDを使わないで第三新東京市にむかうのだ
当然のことながらユウさんは反対してきた。危険すぎると

「ユウさんじゃないです。鳥はいつかはばたくものだって。それがこの旅だってことです」

もう1度小鳥は巣から飛び立つ時なんです。と言った

「ルミナさんやティアさんにはどういうつもりかな?」

「きっと2人なら止めると思うんです。だから黙って行きませんか。今日の夜にも」

「カオリちゃんの決意がそこまでならどこまでも付き合うよ。なら早速用意をしようね」