第三新東京市ジオフロント ネルフ本部 保安諜報部部長室
僕は加持さんに呼ばれてここに来ていた
「そうですか。2人とも一時はロストしたけど無事に居場所は特定できたんですね」
「ああ。それを手助けしたのは君だろ?今回の狙いは何だったのかな」
「彼らにもうあの町に関わらないようにしてもらうための最後の一手というところでしょうか」
そう、僕としてはこれ以上あの町に干渉する事は望まない。
ゼーレの幹部たちは次々と逮捕されていて今は裁判待ちをしている人物が大勢いる
だが非公開裁判になる事であることは容易に想像することができた
内情を知っている者は誰だって地獄に繋がる口が開くことはわかっている
「ゼーレ幹部の裁判はどうなりそうですか?」
「ここだけの話だが。非公開裁判になる事は確実だ。マスコミ対応もその方が楽だとさ」
「監察局の蒼崎局長や各国の政治家はこれ以上世界が壊れることは避けたいのが本音でしょう」
各国上層部だけで知られている永遠の誓い。それを守らなければどうなるか
すでに各国は痛い目に遭っている。あの町を国連直轄の町にするくらいだ
「それでネルフの存続は?」
「蒼崎局長と碇司令が内密に会談を持った。海岸の町とカオリちゃんに手を出さない限りネルフの体制は変わらないと」
「それが落としどころという事ですか?」
僕の言葉に加持さんはそうだろうなと返答した
ネルフがあの町に関わらなければ世界の時計は歩み続ける
永遠の誓いを侵すものがいれば必ずどこかで犠牲を払う事になる
ようやくあの町が静かなところに戻る事になる。大きな代償を払う事になったが
その価値は十分にある。
「ゼーレの幹部裁判。どんな罪になると思いますか?」
「世界中の人々を犠牲にするだけのことをしたんだ。死刑は間違いないだろうが。どんな供述をするかによるな」
加持さんは僕にも何らかの形で裁判において召喚される可能性があるとしてきた
僕もゼーレの裏側をよく知っている。だから証言は求められることは当然のことながら予想できていた
「これも自分が生まれた運命ですから」
そう、これが僕にとっては罰なのだ。彼女の心を壊してしまったのだから
だから、証言して罰せられるなら覚悟はできている
ただ、僕にも語る事の出来ない事は多い。あの時の記憶が一部欠損しているのだ
まるで覚えない事を願っているようにあの時は感じられた
だから記憶から抜けているのではないかと
『ピーピーピー』
彼女から電話だった
「君から電話とはどうかしたのかな?」
『一応、ありがとうと伝えたかっただけよ。ただの気まぐれだってことを忘れないで』
「分かっているよ。もう会う事もないとは思うけど、僕の方こそありがとう」
『さようなら』
そう伝えてくると通話を終えた