第三新東京市ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室

「世界は大揺れの波に乗っている」

「はい。政財界の大物が次々と逮捕。一部の国では政治情勢に混乱がきたしているところも」

ティアの報告に私は悩みの種がまた出てくるのではないかと懸念していた
ある先進国で国の政治を関わる議員の半分以上が拘束されたという報告もある
下手をすれば国がつぶれそうなくらい世論調査で批判が高まっているところも
監察局にも、もっとネルフに対して強く査察するべきではないかという検討に入っていた
私としてはどちらの組織の権限が上回っても問題になると感じていた
お互い微妙なバランスでいる事の方が都合が良いと
下手にパワーバランスが崩壊すると再び戦場になるかもしれない
戦場ぐらいならまだまともな世界だと言える。世界が終わりを迎える事を考えれば
永遠の誓いはそのために全世界の国の国家最高機密なのだ

「永遠の誓い。決してあの町に政治的に介入せず。争いをしないか」

それこそが世界の安定につながると。
神様を追い詰めれば再びセカンドインパクト以上の被害を出す
誰もが怯える事だ。ようやく安定した社会を目指しているのに
すべてが壊れてしまっては意味がない。
だからこそあの町の平和は永遠の誓いなのだ。
静かに暮らす人々であり、誰もが平等であり続ける
ひっそりとした空気。それがあの町の存在理由だ

「世界は永遠の誓いを守るでしょうか」

「ティア、誰だってハチの巣をつついたりはしないよ。今年も増額になりそうだしね」

「またですか?お金でしか価値をはかれないなんて」

確かに彼女の言うとおりだ。私も同意見だ。
お金だけでは平和にはならない。必ずどこかでほころびが生じる
でもだ。あの町に触れたいものはいない。
好き好んで地獄の口を開けたいと思う人間はいない

「私にとってはあの町で彼女が静かに暮らせれば世界は安定する」

かつてルミナの言うとおりだ。ようやく安定してきた世界を壊したいものはいない
永遠の誓いをこれから世界の各国の最高機密として。それとようやく動き出した彼女の時計
それも少しずつではあるが動き始めた。世界の時計も同じように
いづれはどこかであの町に手を出すものが現れるかもしれない
その時に止めるのが我々ネルフ監察局だ。なんとしてもあの町には手を出させない。

「これで彼女には良かったのかな?」

「選択肢を与えて、彼女は自ら選んだ道を歩み始めたんですから」

「箱庭でも生きているには変わりないという事になるのかな?」

「私にはわかりませんが、そうであるように我々は願うだけです」

静かな町であり続ける事が世界の平和につながるのだから