翌朝私は目を覚ますといつもの日常が戻ってきたことに感謝した
これで一通りのケリはついたからかもしれない。

「今日から静かに暮らせればいいけど」

今までにそう願っても、まともにその願いが叶ったためしがない
私が願うのはおかしいかもしれないがもし、もう1人の神様がいたら私はきっとこう願うだろう
人として歩みたいと。でもそれはかなわぬ願いだ。
神様は同じ世界に2人もいない。1人しかいないのだ
孤独に耐えて生きていくしかない。この世界を見続けるのだ
永遠に

『トントン』

ドアをノックしてきたのはユウさんだった

「何かありましたか?」

「今日は良かったら隣町まで買い物でも行かないかなと思ってね」

「何を買いに行くんですか?」

「カオリちゃんの服。少しは服の種類を増やしてはどうかなと思って」

私は服はワンピースかジャンパースカートを着ることが多い

「ルミナさんも一緒に来るって言っていたからたまにはショッピングでもして気を紛らわすのにはちょうどいいと思うけど」

ユウさんの言うとおりだ。
たまには隣町の大型スーパーに買い物も行くにはいいかもしれないと思った

「ルミナさんが服を見立ててくれるらしいかならね」

5分程待っててくださいというと出かける用意をした。もちろん、小型リボルバーをカバンに入れてだ
本当ならこんなものを持ちたくないけど、今は仕方がない。自分の立場はよくわかっている。
いくら未来ばかりを見ていても過去を消すことはできない。
でもそれを糧として進むしか道はないのだ。たとえどんな過去でも
私はお出かけ用の服に着替えて部屋から出ると鍵をかけた。
それと念のため、ドアの下のほうにセロハンテープを張った
もし私の外出中に誰かが入ったらすぐにわかるように

「カオリ、ユウさんは駐車場で待っているぞ」

「お父さん。少しお出かけしてくるね。隣町まで買い物に行ってくるから」

私の言葉にお父さんはとびっきりの美人になって帰ってこいと言ってくれた
私はできるだけ努力するけどあんまり期待しないでねと返事をすると中庭を抜けて駐車場に向かった。
そこにはすでにルミナさんとユウさんが乗った車がアイドリング状態で止まっていた
私は後部座席に乗るとシートベルトを締める

「それじゃ、出かけるとしよう」

そして私たちは隣町にあるショッピングセンターに出かけた。
ここから30分ほどにある町は私たちが住んでいる海岸の町より多くの住民が住んでる。
この海岸の町に住んでいる住人が買い出しのために出かけることが多い
そのために公共交通機関として路線バスも出ている

「それにしてもあなたを説得できるなんてすごいわね」

ルミナさんの言葉にどういう意味ですかと私が聞くと、私のことは鳥かごからあまり出ないタイプだったのにと
確かにそうだったかもしれないが、今となってはそんなことはどうでもいいことだ

「私だって変わるときはわかるんです。それにルミナさんだって以前に服はラフな服装でシンプルの物が好きだって」

「ええ、局に戻るときはスーツを着るけど。私は基本的に現場仕事だもの」

ルミナさんとそんなことを話しをしていた。ユウさんはそれを見て、私とルミナさんがよく似ていると
どこが似ているのだろうかと思ったのだが。あえて口には出さなかった