私が眠っている間に自宅である旅館に到着した
よほど熟睡していたのか、私が気付いたら別館の私の部屋でお母さんが布団を出していた
「お母さん、どうやって」
「ユウさんが起こしたら悪いと思ったみたいでお姫様抱っこで部屋まで連れてきてくれたのよ」
あとでお礼を言っておきなさいとお母さんは私に教えてくれた
「そういえば買ってきた服は?」
「それならちゃんと収納スペースに片づけておいたわ。もしその服を着たときは見せてね」
お母さんも楽しみにして待っているからと言ってから布団を敷く
そして夕ご飯の時間になったらちゃんと食べるようにと注意するようにと
私はお母さんにちゃんと夕ご飯は食べるから心配しないでと伝えるとロッキングチェアに座った
お母さんが部屋から出ようとしたとき私に振り返ってこう言った
「お帰り。カオリ」
私はただいまというとお母さんは仕事に戻っていった
ロッキングチェアがある窓際から外の風景を眺めながら私は静かな1日が良いわと思った
ささやかな幸せなのかもしれないが。私にとってはこの旅館とこの町。
私はそれだけで満足だった。あまり多くを欲しがると贅沢だと思っていたからだ
普通の人から見たら不思議なのかもしれないけど。私にとってはそれだけ満足なのだ
「静かな1日が一番幸せ」
静けさを求めて私はここにたどり着いたのかもしれない
この町でお母さんやお父さんとの出会いはまさに奇跡だったと考えることもあった
ただ放浪しているだけの私のことなど何もわからないのに家族として迎え入れてくれた両親を
本当の意味で私は家族だと思っていた。たとえ血縁関係がなくても家族として過ごせる
温かく。そして何の見返りも求めない。
一緒に暮らしていくことだけが幸せだということを私はここで知った
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僕はルミナさんを彼女の自宅まで送った後、今住んでいる旅館の方に向かった
旅館に到着する前に僕はため息をついた。ある人物が尾行していたことをすぐにわかったからだ
尾行している人物はよく知っている人物だったため、それほど警戒していなかった
「元気そうね。ユウ」
「フィール」
彼女は僕の武器調達をしてくれている人間だ。彼女も元ゼーレサイドにいたが
戻るつもりはないし真実を知ってこちらに協力してくれている
今の仕事はジャーナリストで、ネルフやゼーレの情報収集をかなり行ってくれている。
ジャーナリストになったのも世界の真実を知ることを目的に。この仕事を選び国内外問わず報道活動をしていた
「何かあったのかな?」
「ええ、ちょっと問題があったから寄ったのよ。話をしても?」
「そうだね。ここだと誰かに聞かれているかもしれないからね」
僕は彼女と自分の車に乗り込んだ。フィールは助手席に座りこちらにファイルを渡してきた
そこにはここ最近のゼーレ残党に関する情報が記載されていた
「貴方ならこの情報を有効利用してくれるでしょう」
「つまり何が望みなのかな?」
「私は真実が知りたいだけ。あなたの大切な彼女に手を出すつもりはないわ」
「それを信じろと?」
「疑う気持ちはわかるわ。でもこれを見てくれたら納得するはず」
フィールはもう1つのファイルを渡してきた。そこにはゼーレの幹部についての情報が詳細に記述されていた
「どうしてこれを僕に?」
「私もあの子に救われた。あの時に私は死ぬ運命だったのに、彼女によって私はまだ生きている」
だから恩返しがしたいのよとフィールは言った。
彼女の目線や口調からうそを言っているということではないことは感じられた
「こちらで適切に処理するよ」
彼女にそういうと僕の車から出ていった。
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