私はロッキングチェアに座りながら太陽が沈んでいく様子を見ていた
いつもならネコさんが来るはずなのだが。
私の今の微妙に沈みがちな空気があるのが分かるのかもしれない
その為いつもここにきているネコさんたちは来ていなかった
缶コーヒーを飲みながらロッキングチェアでゆっくりしていたがそろそろ夕食だと思い
食堂に向かうことにした。私はユウさんの部屋をノックする

「カオリちゃん。夕食のお誘いかな?」

ユウさんはわかっていたようだった。私は良かったら一緒にどうですかと言うと

「カオリちゃんみたいな美人のお誘いを断るなんてもったいないからね」

少し待っててというと1度室内に戻って服を着替えてきたみたいだった
私とユウさんは一緒に廊下を通って食堂に向かった

「なにかあったのかな?」

「どうしてですか?」

沈みがち空気に気づいたのか。
ユウさんが私があまりに暗い表情をしているからと心配していた
私としては元気なつもりなのだが。
周りの人から見ると私はかなり気分が落ちた人に見えていたように感じられたのかもしれない

「大丈夫です。少し物事が片付いて、私の将来について考え始めたんです」

「何を考えているのかな?」

「ユウさんはこう言ってましたよね。今を生きることが大切だって」

それはかなり昔に言われた言葉だ
今を生きる。それは私にとってあの時は何も考えていなかった
だけど、今になって思えば私へのきっかけを作ってくれた言葉だったのかもしれない
この町で過ごすのも良いし自由に世界を見て回る。
小さな世界で生きていくのも大きな世界で生きていくのも変わらない
自分の決断が最も最善なものだと信じて歩み続ける

「そうだね」

「私は神様だったとしても出来損ないの神様なんです」

「カオリちゃん。君が責めを負うのは間違っているよ」

「でも、責めを抱えていくしかない」

それが私という存在意義なのかもしれないからだ
だが私だけではないということはわかっている。人は誰もが責めを負って生きているのだ。
なにも苦労をしない人間など存在しない。どこかで負の遺産を背負い続けている
そんなことを考えながら歩いていると食堂に到着した
いつも通りユウさんにはボリュームたっぷりのメニューだが私にはいつもの小食用のメニューだ
私たちはいつものように食事をする。ここでの静けさが私は大好きだ
都会とは違った平和。私にとっては贅沢など言わない

「平和ですね」

食事を食べ終えると私とユウさんは別館の部屋に戻っていった。
私たちは別館に戻るとまた明日と言ってそれぞれ部屋に入っていった
いつものように日記帳を取り出して書き始めた。書き終わった時にはもう太陽は沈んでしまっていた。

「それじゃ寝ようかな」

布団を敷くと眠りに入ることにした