第三新東京市ジオフロント ネルフ本部総司令官執務室

私はもう彼女と会うことはないと思っていた。
私が潜入させているネルフ監察局の職員から彼女が大学に行きたがっているとの情報を得た
だがもう手を出すつもりはない。彼女とは決別をしたのだ

「ゲンドウさん」

「彼女には不干渉でいこうと思っている」

何もかもが今更なのだ。今更家族としての関係を再構築できるはずがない
あれほどひどいことをしたのだから。だからこそ
我々は彼女からすべてを奪ってしまった
だからこそ無理に手を出さず、見守り続けることの方が重要だ
それが私にできる彼女へのせめてもの償いというものだ

「私は・・・・・・・・・・・・」

「ユイ。時計の針は元には戻らないのだ。今更後悔したところですべて終わりだ」

「・・・そうですね」

私はユイと話をしながらも彼女の近況を記録したファイルを見ていた。
これは蒼崎ネルフ監察局長が提供してくれたものだ
そこには生き生きと生活しているあの子の写真があった
私はそれでもう満足した。あの子は平和のためにすべての代償を払った
今度は我々が払う番だ
私はユイと共にハーグに向かう予定がある
人類補完計画という計画を立てた賛同者として証言を求められている
私とユイは包み隠すことなく証言することで罪には問わないという司法取引がされた
完全非公開の裁判とはいえ、マスコミは注目する。
我々だけが助かることができたのは彼女のおかげだ
またしても命を救われた。これからも償いをする
たとえそれが私の身を亡ぼす結果になったとしても
罪を押し付けたのだから

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第三新東京市ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室

局長である僕とほかにティアがいた

「局長、カオリさんの写真を使って何を考えているのですか?」

「他意はないよ。ただ元家族として現状把握はしておいてもらわないとね。罪を忘れるなというつもりでもある」

そう、これは罪が残っていることを示すためのものだ
時間がかかっても忘れてはならないこと
だからこそ少し陰湿かもしれないが彼女の今の状況を送っているのだ

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海岸の町 旅館 私の自室

私は部屋でロッキングチェアに腰かけていろいろと考えていた
これからの未来のことを。ユウさんに言った通り大学に通って世界を見るのも良いかもしれない
箱庭のこの町から出ることに良い思いをしない人がいる事はわかっているけど
広い世界を見ていきたいのだ。私が救ったはずの世界
どんなふうに人々が街で暮らしているか
私の決断は正しかったのかどうかを見ていきたいのだ