夕方になり私は食堂に向かう事にした。
そうしたらユウさんも同じタイミングで部屋から出てきた

「これから夕食かな?」

「はい」

私は素直に返事をすると一緒に行こうと言ってくれた
本当に些細な事なのだが私はどこか温もりを感じてしまった
私の事を守ってくれているというような感じを。
だから信じる事ができるのかもしれない。
ユウさんは私の事を裏切ることがないという事を
時には私の事を自分が傷つくことが分かっていながら守ってくれた
できればユウさんには傷ついてほしくないのだが
それでも私はユウさんと一緒に暮らせて行ける今の生活にとても満足している
私は人ではないけれど、姿は人と同じだ。
でも私は人とは違って永久に生き続けなければならない
出会いもあれば別れもある。ユウさんともいつかは別れる時が来る
孤独に生きる事になるかもしれないけど、その時はこの町で静かに暮らしていきたいと思っている
静かで、平穏なこの町。誰もが知り合いであり、時には喧嘩もあるかもしれないけどそれは一時的なもの
いつかは仲直りをしてまた平和に暮らしていく
静かで温もりがあるこの町の暮らしが私には似合っているのかもしれない
私とユウさんが一緒に食堂に着くといつものカウンター席に座った
そして私のために調理されている小食向きのメニュー。
ユウさん用の夕食はまさに活力満点といった感じのメニュー
2種類の相反する料理がそれぞれ出てくると私達はいただきますというと食事を始めた
静かな平和な食事の時間。これで私はようやく平和を勝ち得たのかもしれない
だけど本当の道はこれからだ。自分の歩む先を選ぶのはほかならぬ自分なのだ
自分が未来を切り開いていく。そんな先にどんなつらい現実があっても歩み続けるしかない
立ち止まっている暇はないのだ。人が未来を見て歩み続けるのと同じで私もそうするべきなのだろう
平和な道かもしれないし、時にはいばらの道なのかもしれないがそれでも歩んでいかなければならない
だからこそ歩みを始めようとしているのだろう。私は
先の見えない未来に向かって。立ち止まっていては何にもならないから
未来を見るために歩みを始める。私の心の中で心境が変わったのかもしれない

「ユウさん。大学に通いたいと言ったら支えてくれますか?」

「僕はカオリちゃんのためならどんなことでも叶えてあげるつもりだよ」

ユウさんは私の未来を見る心を支えてくれると言ってくれた
私はその言葉である覚悟ができたのかもしれない
未来を見るために。人々が平和に暮らせる社会に旅立てるように
少しでも手助けができればいいのかもしれないと

「少し未来を見てみたいと思うんです」

「カオリちゃん」

「ユウさんは言いましたよね?鳥はいつは飛び立つものだと。そして大人になると」

「そうだね」

「私も今、試されているんだと思います。未来を見るつもりがあるのかと」