「それであなたの今の気分はどんな感じなの?」
「私のですか。あの町で過ごすのも良かったですけど、広い世界を見るのも良かったのかもしれません」
私のその言葉にルミナさんは本当に少し前とは大きく変わったわねと言った
本当にそうである事は私も自覚している
戻ることなどないと思っていたのに、この街に戻り生活をするために頑張っている
頑張っていると言っても勉強の方にだけど
「時々思うんです。ネルフが自らの欲のために好き勝手にしている」
私はそんな事が許されないのに今も何も手を出していない
いつか責任を取らせることが必要だ。だが簡単に事を進める事はできない
『僕』が犯した罪は消えることはない。それはネルフも同じだ
だがネルフは自ら犯した罪をゼーレにすべて押し付けて自分達は英雄だと主張する
そんな事は私は許すことができない。できればいつかは彼らに正義の鉄槌を下すべきなのかもしれない
ネルフはゼーレと結託していた事は私は分かっている。今はネルフが英雄。ゼーレは犯罪組織
その構造を作り出した事は私は許せない。少しは温情を与える事を考えたりした
でもそれは叶うことはない。犯した罪の代償は払ってもらう
自らを英雄視して好き勝手にしている。
「カオリ。ネルフのことはどうするつもりなの?」
「私はまだ裁く段階ではないと思っています。それに私にはこの世界でただ1人、世界中の人間を裁く権利がある」
私の言葉にルミナさんは本当に怖い人ねと
確かに言葉の内容は恐ろしいものだ。でも必要な事でもある
私は守ると決めたのならどんな手段を使っても守ってみせる
昔のようにただ周りに流されるだけの人生を送るつもりはない
自らが決断して、そして行動する。すべては自分のためである
「ルミナさん。私はひどい女なんでしょうか?」
私は心のどこかでまだ不安だったのかもしれない
もしかしたらまた襲われるのかもしれない。襲われるのが私だけなら手段を選ばず行動する
でも大切な人を人質にされて何かを強要されるような事態になれば私はどうするべきか悩んでしまう
どのように判断するべきか。答えは簡単である。どんな手段を使っても私は妨害してくる人物を殺してでも取り戻す
迷っているような時間はない。とにかく迅速に行動をして私の大切な人に危害を加えるつもりなら守り切ってみせる
「あなたが酷い人間だというなら、私はもっとひどい女よ。あなたをあの海岸の町で閉じ込めようとしたのだから」
「でもそれは私を守るため。違いますか?」
そう、ルミナさんの行動は私を守るためだ。
でも私もルミナさんやユウさんに危険な事をしてほしくない
トラブルがないことが一番なのだけど、現実というのはそういうわけにはいかない
私は展望台に1人の男子高校生を見つけた
「今日は平日だと思うのだけど、学業を放棄してまで何か用事でもできたの?渚カオル君」
「あなたがこの街に住み始めたと聞いたので、少しお話ができればと思ったのですが」
いったい彼は何を考えているのか。私は事前に忠告したはずだ
次に会った時は殺されることを覚悟するようにと
「殺される覚悟があるの?」