私は何かを得ようと思っているわけではない
私のただ1つの願いはこれだけだ。『平和に暮らせること』

「もし『僕』ならあなたを許すつもりはないわ。今はわずかな時間を大切にしなさい」

つまりこちらはいつでも攻撃する用意ができているということを言っている、そのつもりだ
あえて直接的な言動は避けるべきだと判断しての対応だ
私は私の生活を守るためにはもうどんな方法でも使って見せる
それに私には海岸の町で出会った大切な人たち

「ネルフは世界を守っているのが自分達だと自慢気にしている」

私はそういう行為をすること事態が許さない
碇ゲンドウと碇ユイ、彼らがした事は自らの欲求のために世界を壊すだけでなく好き放題した
どれほど大きな被害が出るのかある程度は予想できていたはずなのに
私がもし『正義の審判』を下していたら彼らを生き返らせることはしないはずだった
でも彼らにもチャンスを与えた。
ルミナさんの話によるとそれなりの代償を払う覚悟はあるらしいけど
彼らが『本当の真実』を明らかにすることはないだろう
少しでもネルフの立ち位置を動かないように発言することは容易に想像できる
自分達の利益のためにそんなことをするなんて許したくない
でも現実はそうは言っていられない。もしネルフの『真実』が明らかになったら大問題だ
それだけに扱いには慎重さが求められる

「渚カオル君。あなた達は彼にチャンスをもらった。やり直すための」

でもそのチャンスを自らの利益のために利用した。
酷い連中であることは変える事のない事実だ

「これだけははっきりさせておくわ。私にもしも不用意に接近するなら覚悟をしてくることね」

必要なら私はすべてを『消す』こともためらうことはないということを
もう『碇シンジ』ではなく、水川カオリなのだ。
そして新しく生まれ変わった人生で世界を見ていく
この広い世界を。そこに加持さんが現れた

「加持さん。ようやく来てくれたんですか?」

私のその言葉に渚カオル君に頼まれてねと言ってきた
どうやら裏でいろいろと手を回していたようだ。そうでなければルミナさんがすぐに動くはずだ
彼らが動かなかったということは事は穏やかに進んでいるということだ

「ところで加持さん。ネルフはどう動くのかわかりますか?」

「君に直接触れることは禁止されているよ。まぁレイちゃんたちはその制限を守るかどうかについては微妙だけど」

「できれば会わないほうが幸せな事もある。そう思いませんか?」

私の言葉に加持さんは知らないほうが幸せがあるということかなと聞いてきた
もう彼らとの面倒は避けたい。
何度も言うが私は広い世界を見るために海岸の町からこの第三新東京市にきたのだ
たとえどれほどの時間が経過しようとレイさんやアスカさんたちと再会するつもりはない
もう、交わる事がない線でしかないのだから

「渚カオル君。彼女たちにこう伝えておいて。過去を振り返る事はもうやめてと」

私は未来を見てほしい。彼女たちが時間をかけて人生という名の道を歩いていく
どのような道を選ぶかはそれぞれ個人の選択だけど。
私と交わる事がないようにしてほしい。過去ばかりに固執するあまりに未来を見ようとしない
広い世界を見ることができる人生が得られるようになったのだから