自宅マンションでルミナさんとユウさんと昼食を食べると私は自室に戻ると受験勉強を始めた
私の存在が『神様』の様なものだから勉強しなくても試験問題を解くことぐらいは簡単ではあるが
インチキをすることは避けたいので。できるだけ自分の『本当の学力』で受験をしたかった

『トントン。カオリちゃん。コーヒーでもどうかな?』

ユウさんからお誘いに私はドアを開けますねと答える
部屋のドアを開けるためにデスクチェアから立つとドアに向かった
ドアを開けるとユウさんがコーヒーカップを持っていた。ちなみに1つではなかった
ユウさんも自分用のコーヒーカップを持っていた

「入っても良いかな?」

私はその質問にどういう意味ですかと聞いた
海岸の町の旅館にいた頃は何度か私の部屋に入ってきたことがあったから、
今更気にすることではないと思っていたからだ

「ユウさんやルミナさんなら大歓迎ですよ」

私はコーヒーカップを1つもらうとユウさんと少しお喋りをすることにした

「勉強の方はどうかな?」

「頑張っていますよ。奨学金制度を使ってお父さんやお母さんに迷惑をかけたくないので」

私の言葉にユウさんは本当に真面目だねと、私の頭を軽く撫でた
すぐに恥ずかしくなって私はユウさんは女性のお付き合いの仕方に慣れていますねと言った

「カオリちゃんは綺麗な女性だからね。ただ、鳥で例えるなら巣から巣立ちができていない小鳥って感じだけどね」

「私が小鳥ですか?」

私は少しは巣立ったつもりなのだけど、
ユウさんから見ればまだ巣立っていない小鳥と変わらないようだった

「少しは大きく進歩したかもしれないけど、本質的なところは変わっていない。違うかな?」

「それは、そうかもしれないですけど」

ユウさんから受け取ったコーヒーカップに注がれたコーヒーを飲んだ
味はブラックであった。おいしいコーヒーであった

「カオリちゃん。君はお人好しだね」

ユウさんの言葉にどういう意味ですと質問した

「君は殺すと言っておきながら、自らの手を下すことはない。君は言ったよね。ドイツで。法によって裁かれるべきだと」

つまり君自身の好き勝手に闇雲に殺しをしているわけではないと。

「それは・・・・そうかもしれないですね」

「カオリちゃんは法によって裁かれる事こそを求めた。正しい判断をしたと僕は思うよ」

「私がした判断は本当に正しかったのでしょうか?」

「大丈夫だよ」

ユウさんは私の髪をやさしく撫でてくれた
思わず私は小さな子供じゃありませんと恥ずかしくて言うと、
ユウさんは子供じゃないっていうところが子供なんだよと優しく語りかけてきた

「カオリちゃんは本当は優しい子供だからね」

ユウさんはそう言うと何か問題で分からないところがあればいつでも質問してきていいからねと
そう言うと私の部屋から退室していった