私たちはジオフロントの監察局に今度こそ無事に到着した
ここまで来たら狙われることはないはずだけど、万が一に備えておく必要がある

「まさかここで射撃訓練をするなんて」

私の言葉にルミナさんは懐かしさを感じているのと質問をしてきた
確かに少しはなつかしさを感じているかもしれないけど、何が起きるかはわかるものはいない
ここでも危険性があることは間違いない

「ここには良い思い出はそれほどないです」

ネルフ保安諜報部の加持さんとはある意味では約束を果たせなかったことについては後悔している
あそこは加持さんにとっては大切な場所だったはず
でも今はもう何もかもが違うのだ。『碇シンジ』は死んだ
それだけははっきりとした事実である。今はもうあの頃に戻るつもりはない
私たちは監察局内の通路を歩いて射撃訓練室に向かった
その道中に多くの人からまるで客寄せのように見物されていた

「カオリちゃんは美人な女性に見られているようだね」

「ユウさん。怒りますよ。私が美人って言われて喜ぶタイプと思っているのですか」

むしろ逆である。私は美人と言われることそのものが好きではない
今の私は罪にまみれた咎人のような人間だと感じてしまうから
だから褒められることは好きなことではないのだ
射撃訓練室に入ると私たちはそれぞれ防音ヘッドフォンを着用。
射撃用の的に向かって発砲する射撃訓練を開始した
ユウさんとルミナさんの2人を見てみると的の中心部分を見事に当てていた

「さすがはプロは腕が違いますね」

私とは全く腕が違う。だって私は素人なのだから
知識としてあったとしても身体能力では差が出るのは当たり前である
ユウさんは海岸の町の自宅にある射撃訓練場で定期的に腕を磨得ていることはわかっている

「僕は戦闘訓練を今も毎日しているからね」

「私もよ。こんなオオカミのような男にあなたを任せるわけにはいかないのだから」

ルミナさんの言葉に私は思わず苦笑いをするところだった。
私の銃の腕はユウさんから見るともっと鍛えないといけないと評価されるかもしれないけど
ユウさんやルミナさんがそんなことを認めるはずがない。
ルミナさんは私が銃を持つことに良い感情を持っていない
でも武器がなければ問題になる。私は私を守るためには必要なのだから

「そういえばカオリに格闘術を教えておかないとね」

「ルミナさん。今日ですか?」

私は今から訓練があるのではと思った
できればすぐにそんなことはしたくない。

「あなたに銃を持たすことに同意したくないけど、あなたのそばにはおいしい物を食べるかもしれないオオカミがいるから」

ルミナさんの言葉に私は苦笑いをした。オオカミがユウさんを示していることはすでに分かっている
ユウさんがそんなことをしないことはわかっている。ちなみに私はユウさんを信頼しているし、同じ家で同居している
もし私のことを『食べる』ようなことを考えただけでもルミナさんは私を守るために動いてくる

「一応ネルフの情報で何か不審な動きがあればすぐに連絡するわ」

ルミナさんは私を必ず守るようにとユウさんにしっかりと、ある意味では命令口調で話した

「どんな手段を使ってでもカオリちゃんを守り切ってみせるよ」