私とユウさんは掃除を終えると思わず私はソファで横になってしまった
疲れていたのかもしれない。私だって万能というわけではない
確かに『僕』はこの世界を再生させたのかもしれないけど、それが正しいことだったのかはまだわからない。
全ては歴史が決める事であり、その答えが出るかどうかはわからない。
いつかはわかることかもしれない。
でもそれは長い歴史を未来の人が遡って古書を読み返すように時間をかけて読まないとわからないことでもある
長い年月によって答えが出ることは珍しいことではない
だから私がすぐに答えを見出すかどうかはわからないのだ

「本当に世界は正しいのかどうかわからないものですね」

私は思わずつぶやくとユウさんは歴史というものは未来になってそれを古書を読み返すのと同じだよと
少し前に私が思っていたことを言い当てるかのように答えてくれた
歴史でそれが正しいのかどうかを決めるのは長い時間を経過した後に、
簡単に言ってしまうと時代が進んで当時の歴史が良かったのかどうかを決めるかはそこの判断次第である
今のことを今現在で評価することなどできるはずがない
遠い未来で歩んでいる人が今の出来事を何かの形で見極めることで正しかったのかを決めることができる
だから今の出来事が正しいかなど決めるのは遠い未来で生きている人々が決定する
もちろん歴史の評価というのはどれが正解だったのかは個人によって異なる見解を持つ

「未来なんて遠いですね」

「こればかりは今すぐに決まることではないから仕方がないよ」

私はユウさんにそうですねと伝えるとベランダの窓ガラス越しに外を眺めた
ちなみに私とユウさんが住んでいるこのマンションの窓ガラスは防弾仕様だ
個人的に言うなら少し申し訳ないと思っていた。
私がここにいるから私とユウさんが住んでいる部屋の窓ガラスは狙撃されてもガラスを貫通しないように、
対物ライフルであっても数発は持ちこたえる可なりの強度を持つ窓ガラスなのだから
ルミナさんは本当に心配性である。もちろんそれはユウさんも同じだ
だから私には話してくれていない。でも窓ガラスを軽くノックした時に分厚さに気が付いたのだ
明らかにかなり強力な防弾仕様の窓ガラスであることを

「ユウさんとルミナさんは本当に心配性ですね」

「窓ガラスが防弾仕様のことってわかってくれるなんてさすがだね。カオリちゃんを守るにはこれくらいはしないと」

ユウさんはいつ狙撃されるかわからないからねと私に心配そうな声で話してくれた
確かに狙撃される可能性が全くないということではない
海岸の町にいた頃よりもここの方が危険であることは事実なのだから
あの旅館の部屋の窓は防弾仕様ではない。
なぜなら外から狙うとしても船を使って海から狙撃しないといけないからである
いくら優秀なスナイパーだとしても船から正確に仕留めるのはほぼ不可能
でもここ第三新東京市なら話は大きく変わってくる
ビルが多いのだから狙撃をするつもりなら簡単に位置取りはしやすい
つまり狙いやすいことを示している