第三新東京市までまだ50km以上ある中、その途中のパーキングエリアで休憩を取っていた
私はトイレに行っていた。昔は苦労した事も今となっては慣れたことだ

「うまくいくといいけど」

私が考えているプランは無理無謀が付きまとう
それでも賛同してくれた相葉ユウさんには感謝の言葉しか出ない。
彼はその計画に苦言を呈するどころか、助言をしてくれた
私はトイレを済ませると車に戻った。ユウさんはまだ戻っていなかった
その隙に私は後部座席置かれたバックを覗き見た
中には大量の銃と弾薬が収められていた。

「心配する必要はないよ」

突然声をかけられたことに驚き、運転席側を見るとユウさんがドアを開けた状態で立っていた

「これは、その」

とっさに言い訳をしようとしたが、それは必要なかったようだ

「もしものために用意しておいた物だから心配しないで。検問に引っかかる心配もないから」

第三新東京市周辺は検問が必ず設置されている。
ネルフの意向でだが。目的はテロ対策だといっているが
本当のところは分からない。すべてを知っているはずの私にも分からない

「でも検問に引っかかったらどうしたら」

「そうだね。こういうときのために作っておいたんだ」

ユウさんはポケットからIDカードとバッジを取り出した
それは第三新東京市警察のIDカードとバッジだった。

「これがあれば検問も通過できるよ。心配することはないよ」

確かにそのとおりだ。これがあれば検問はほぼノーチェックで通過できるだろう
検問所は第三新東京市の入口に必ず設置されている

「でも、手荷物チェックをされたら」

不安そうな私の表情を見て、髪の毛をなでた

「大丈夫、心配しないで」

私をまるで子ども扱いするかのようなことだったが、決して嫌ではなかった
むしろ、その行為に幸せを感じてしまった

「それじゃ、そろそろ行こうか。第三新東京市に」

「はい」

-----------------------------------------------------------------------


『本当なの!彼女が町を出たって言うのは』

電話の向こうでルミナは大声を上げていた
おかげでこっちは難聴になるところだった
彼らの動向はこちらでも把握していたが、突然の彼女の決断にあわただしさを感じた
まるで今まで止まっていた時計が急に進みだしかのように

「今第三新東京市に向かっているところまでは確認されているわ」

彼らの行動は戦略自衛隊によって把握されていた。それが私達の元へと情報としてくる
そういうシステムになっていた。
だが、突然の行動に彼らも戸惑いを隠せないでいるようだ
さらに言えば、相葉ユウが大量の銃器を所有しているということ
これは極めて危険な材料に他ならない。

『それでそっちの状況は』

「彼女のお母さんとお父さんに直接話を聞いたわ。彼女は何かを決意したって言うことは間違いないわ」

『それってつまり、本当の両親に真実を打ち明けるつもりってことかしら』

ようやく平静を保ててこれたのか、声が落ち着いてきた。

「たぶんそうだと思うわ。ご両親も深いところまでは知らない様子だったから」

ルミナは心配で仕方がないのだ。第三新東京市に来ればネルフと直接対決することになる
そうなれば、無効な強引な手段をとるかもしれない
それを懸念していたのだ

『今は戦略自衛隊が護衛についているのよね』

「ええ、情報は随時送られてきてるわ。今回の2人は本気よ」

『第三新東京市の入口には検問所が設置されているのにどうやって侵入するつもり』

先も述べたとおり第三新東京市につながるすべての道路には検問所が設置されている。
簡単にはセキュリティチェックを突破することはできない

「相葉ユウの家に行って調べたら、地下室から第三新東京市警察のバッジが出てきたわ。たぶん試作品ね」

『つまり警察官に化けて入ろうってわけね。わかったわ。その件はこっちで処理するわ』

おそらく、第三新東京市警察に話を通しておくのだろう。
彼らを検問所で引っかからないようにするために

「それはいいけど。私もそっちに行くわ。そのほうが力になれそうだし」

『お願いするわ。私だけだと力不足なのよ』

「あなたからお願いだなんて怖いこともあるものね。すぐに荷造りをして出発するわ」