とりあえずパトカーのサイレン音が接近してからは防弾ガラスに弾を撃ち込まれなくなった。
この後始末はかなり大変になるのは間違いない。幸いなことに室内には銃弾は貫通していない
防弾ガラスですべて防御はされたが今後どうなるかは全く予想できない
事態が悪化する前に対応するには私は演技をした方が良いかもしれないと考えた
そこで私はすぐにキッチンから未開封のケチャップを取ってきた
防弾ガラスだから弾は貫通していないが少しは演技をしてみることにした
どれ程の効果があるかは私には今はわからないし、どのような敵対勢力の連中が動くかもわからない
しかし今は何もしないよりもパフォーマンスは極めて重要であると考えた
その私の行動を見てルミナさんはすぐに手伝ってくれた。
ケチャップを服につけることで弾が当たった演技をすることをユウさんもわかってくれた
すぐに私が即興で考えた演技を手伝ってくれた
盗聴はされていないとは思うが私は苦しむ声を出した
ユウさんとルミナさんは私の演技を見て少し苦笑いをしながらもわざと切迫した声で会話をしていた

「カオリちゃん!」

これはユウさんの声。声の演技はかなり上手である

「しっかりして!カオリ!」

これはルミナさんの声。ルミナさんもかなり演技は上手である
声優になれるかもしれないと言えるぐらいに。
私はさらにかすれるような小さな声で『助けて』というセリフを出した
正直なところは演技はかなり上手にできているのか疑問を持った。
でも今は完ぺきな演技が必要である。そのためのセリフとしては良い感じで進んでいる

「救急車をすぐにこっちに手配して!」

ルミナさんの演技力はなかなかなものである。
本当に私が死にかけているかというような演技力で無線通信をしている
これで少しは時間を稼ぐことはできるはず。むしろそうしなければいろいろと問題ではあるが
今後のことを考えると今は素人気味ではあるけど、私は死にかけの演技が求められる
ユウさんは本当に素晴らしい演技力を発揮している
これで一時的では少しは安心できるかもしれない。
私はできればそうなってほしいと思っていたけど、現実は都合よく進む事はない
今は遠距離からの狙撃で終わっている。それも防弾ガラスであったことも
貫通はしていないが、演技をして対応すれば今後のプランを練る時間は稼げることをしているつもりだ
ちなみにユウさんもルミナさんもかなり演技が上手である
私の行動に何も言うことなく付き合ってくれている。まさに阿吽の呼吸が成立している
その間にも救急車やパトカーのサイレン音が近づいてきた。
ルミナさんは私の耳の近くで演技が上手いわよと褒めてくれた
本当に小さな声だったので聞かれることはないだろう
ユウさんも私にだけ少しだけ『大丈夫だよ』とこ小声で言ってくれた
私は少しは演技が本当に楽しいと思ってしまった
救急隊が私たちがいる部屋の外にいるがわかった。
ただルミナさんたちは万が一彼らも敵の可能性を考慮に入れていたようだった。
2人は銃をしっかりと持ち、いつでも発砲できるようにしていた