その後はいくつか渚カオルと話をした後、彼は病室から退室した
ユウさんは座り心地が良いとは言えないイスを持って入ってきた
それが何を意味しているかは察しはついていた

「すみません。ユウさん。迷惑ばかりをかけてしまって」

「カオリちゃんは僕の守りたいランキングでナンバー1だからね」

ユウさんは必要ならどんなことをしてでも守り抜いてみせると答えてくれた。
私にとって本当に信頼できる人は海岸の町の人たちや旅館で一緒に過ごしてきたみんな
それに私を引き取ってくれたお母さんとお父さんも大事である
ユウさんと同じで守るためなら体が血まみれになろうと守り抜く
大切な『家族』なのだから。これは当たり前の行動である

「そういえばユウさんの銃はどうしているんですか?」

「自分のものは持っているよ。それとこれはカオリちゃんのために用意したよ」

ライフルマークは未登録の物だから追跡される心配はないとのことだ
ライフルマーク。つまり銃の発砲時に銃弾にできる線条痕を過去に何かの事件で使用されたものだと、
市警察やネルフに銃弾のデータベースで照合されると面倒になる
それを避けるためにも新品の銃の方が良いに決まっている

「いつも本当にすみません」

私はユウさんに迷惑をかけているばかりだ。
こちらもできれば武装はしたくない。でも必要になることはわかっている
必要なら攻撃してきた敵勢力の血まみれになろうと守る
私が迷惑をかけているのに、何もかも他人任せにするのは良いはずがない
決着は私自らが始末をつける。どんな方法であっても利用する

「カオリちゃんを守ることは両親から頼まれているから気にしないでいいよ」

お母さんとお父さんは本当に私のことを心配していることはよくわかっている
本当に私はユウさんに迷惑をかけているのだから、申し訳ない気持ちがたくさんあった
こんな状況にならなければ、病院のベッドで入院することはなかった

「君に何かあるとルミナさんに殺されるから、何が何でも守り切らないといけない」

ユウさんは私の安全を守るために一緒に行動を共にしていると話してくれた
その言葉に思わず顔を赤くしそうになった

「ユウさん。この部屋に耳はありますか?」

耳というのは盗聴器のことであり、それがこの個室にあるかを知るために誤魔化す形で話した
もしかしたらネルフが盗聴している可能性があるから
知られるのはいろいろと危険になる。ただでさえ私は棺桶に足を突っ込んでいるような状況なのだ
警戒のために言葉を選ぶのは当然のこと

「大丈夫だよ。ルミナさんが事前に調べてすべて破壊してくれているから」

ユウさんは少し苦笑いをしながら教えてくれた
彼から見てもかなり乱暴なことをしてきたのだろう