第三新東京市まであと、50km地点までの位置に到着した。
そこのパーキングエリアに入るとパトカーが近づいてきた。
思わず私は隠れそうになったが、ユウさんがそれを止めた

「大丈夫だよ。心配しないで」

『トントン』

運転席を警察官がノックした。
ユウは普通に対応した。そしてバッジを見せた

「第三新東京市警察の相葉ユウだ。こっちは相棒の水川カオリ」

「そうですか。何か用事で海岸の町から来られたのですか?」

「休暇だよ。野暮なことは聞かないでくれないでくれ」

警官たちはバッジを見せると信用した。
まさか偽造されているとは思いもしなかっただろう。
警官たちは離れていった。そしてパトカーに乗り込んだ

「ほら、大丈夫だったでしょ」

確かにその通りだった
大丈夫だった。パトカーはその場から離れていった

「検問所まで後40km。問題はそこだね少し待っててね」

ユウさんは車から降りると後部座席の荷物を隠そうとしていた
しかしどこに隠そうとするのか、私は興味津々だった。
とても隠せるような場所があるとは思えなかったからだ
すると、後部座席の座席部分を開けた。
そこには物が収容できるスペースが確保されていた
カバンをそこに収容すると再び座席でふたをした
運転席に戻ると私にこれで大丈夫だよと答えてきた

「本当に大丈夫ですか?検問所のチェックはそんなに甘くないのでは」

「もしものときは強行突破するだけだよ。そんなに心配することはないよ」

強行突破という言葉に私は不安な表情を浮かべた
その表情を見たユウさんは大丈夫、何とかなるよと言った

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ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室

「どうやら事態は急を要しているようだね。ルミナ」

「はい、局長」

応接セットで向かい合わせに座っている2人は片方、
つまり私は苛立ちを隠せない表情をしていた。

「そんなに苛立たなくても市警察には私から話を通しておいた」

「どのようにですか」

「2人は休職中の刑事であるとね。多少強引ではあったが、状況が状況だ」

確かにその通りだ。
今の状況は明らかに最悪の方向に向かって全力疾走しているようなものだ
これ以上、事態が悪化しないことを願うことしかできない私。
なんと無力な私なのだろう。

「検問所で引っかかることはないということですね」

「そういうことだね。それよりもネルフの動きのほうは?」

「保安諜報部が動きを見せ始めています」

確かにその通りだ。保安諜報部は動きを見せていた。
彼らが海岸の町から出たときから

「彼らに身辺を拘束されないように厳重に見守る必要があるね」

もしネルフに身体を拘束されればことは一気に大事になる
それだけは避けなければならないが彼女はそれを望まないだろう
きっと彼女は自ら悪魔の炎の中に飛び込んでいくだろう

「私はカオリと接触を試みます。うまくコントロール下に置ければ事態は収拾できます」

「そうしてくれると助かるよ。私の仕事も減る」