カオリちゃんは僕を助けるためなら血まみれの戦場を生み出してまで助けてくれるだろう
でもそれはカオリちゃんのことを考えると避けたい道である

「カオリちゃんの護衛は最重要課題だね」

状況は好転しているとは言えない。現段階では何が起きるか想像することも難しい
何が何でも問題解決しなければ極めて危険であることはわかっている
問題解決ができなければ意味がない。必要なら『古い友人』に探りを入れてもらうことも必要に

「悪いけど、君が持っている情報が重要だからね」

『あなたにはいろいろと借りがあるからすぐに調べる。でも気をつけなさい。彼女は狙われている』

そんなことはこちらはわかっている。だからこそ何が何でも守らなければいけない
利用できるならどんな汚い方法を使っても集めてカオリちゃんを守る

「念のために確認するけど、もし僕やカオリちゃんに何かをしてくるつもりなら」

その時は覚悟はできているねと聞くと電話の相手はあなた達を敵に回すつもりはない
それにあなた達にこちらはいろいろと助けてもらっているから心配しないでと

『彼女の存在がどういうものなのかは私もすべてはわからないけどあなたがそこまで入れ込んでいるのに』

妨害工作をしたら僕に殺されると。
こちらの立ち位置をよく理解しているからの発言だ

「念のために聞いておくけど、彼女に手を出したらどうなるかはわかっているだろうね?」

『あなたに恨まれるようなことはしないわ。私も彼女に救われた。本当なら生きることは認められない』

僕の電話の相手はゼーレに属していた頃の友人。
正確には恋人だった。だけど彼女と僕の間には『過去の汚点』があった
だから、結婚という関係にはならなかった
友人からもたらされる情報は極めて重要になっている
カオリちゃんを守るためにも、彼女が血まみれの道を歩く前に僕が対応する
彼女にはもう傷ついてほしくない。僕は彼女の両親から頼まれている。
カオリちゃんとは本当の血縁はないだとしてもそれは血のつながりだけだ
家族というのはそれぞれの価値観によって大きく変わる
たとえ血のつながりがあるから両親に戻れるなんて考えるようなのは親とは言えない
血のつながりは無くても実の子のことを考えているなら、『両親』と言える
家族というのは互いに信頼関係があり、お互いが本当に仲良く過ごしているから成り立つ
そういうものであると僕は考えていた。
だからこそ時には厳しい状況にあったとしてもカオリちゃんを守る
これが僕にできる『彼』であり『彼女』への恩返し。
カオリちゃんがいなければ、ルミナさんに殺されていたことは間違いない
今もルミナさんは僕がカオリちゃんに何か危害を加えるような行動をすれば殺されている
ゼーレ側にいた僕を助けてくれたのがカオリちゃんである
僕の今の役割はカオリちゃんが幸せに暮らす道を確保するだけである