私はカオリのことは彼に任せることにした。
今は彼が最後の防波堤であることはわかっている
それにカオリが彼のことを信頼している。カオリは彼と一緒にいることで『世界が安定』することができている
失ったらカオリは復讐するためにあらゆることをするだろう
すでにゼーレの元締めであるキールを国際裁判にかける段階まで話を進めている
動き出したら止まらない時計の針と同じでカオリは大切な人を傷つける人間は許さない
徹底抗戦の構えで行動を行うことは容易に想像することはできる

「今は見張りをつけるしかないわね」

私はそんなことを呟きながら病院の廊下を歩いていると1人の男性を見つけた

「加持リョウジ、今回の一件はネルフが絡んでいるの?」

彼と少し話をすることにした。私たちは微妙な立場である
下手に接触している様子をネルフ側に知られると問題になりかねない
できる限り偶然接触したということにすれば少しは言い訳はできる
どこまでその効果があるかは全くわからないが。影響が出る範囲は抑え込むためなら仕方がない
何もしないというのでは問題になることは誰の目から見ても明らかだから

「カオリちゃんのことで少し話をしようと思っただけだ。彼女に俺は助けられてばかり」

恩を仇で返すつもりはないと言ったがどこまで信用できるかはわからない
この男もゼーレの立場にいたことはわかっている。おまけにネルフの機密情報も扱っている。
信用するかしないかを判断するのは簡単なことではない
人間は自ら利益を得るためならどんなことをしてでも手に入れようとする
例えば誰かを殺しても。その人物や組織に利益があるなら何でも行うものだ

「ゼーレの分派が動き出していることはネルフでもつかんでいるよ」

その話を聞いて私は大きなため息をついた。
この状況が続くことはかなり好ましくない。影響がカオリにまで出ると大問題になる
碇ゲンドウと碇ユイたちが何か仕掛けてくるかもしれない。できるだけそういうリスクは避けておきたい
仮に問題が発生しても被害を最小限にするために動くことが求められる

「彼らのターゲットは彼女であることは間違いない」

加持リョウジの話に私はため息をついた
さっさと捕まえてくれると助かるのだが
おそらくゼーレの関係者を確保するために監視だけにしていることは想定できる
できる限り時間はかけるわけにはいかないが、
背後関係を調査してから身柄確保をするつもりであることはすぐに分かった
証拠を消されたら、他の敵対勢力の情報が得ることができない
一気に根絶やしをするために泳がしているのはわかるが、私としては急いで確保してほしいところだ