私は監察局に戻っていた
するとすぐに内線電話で青崎局長に呼ばれた
私はジオフロントにある監察局の廊下を少し小走りのような状態で局長室に向かった
監察局長室のドアの前に着くと深呼吸をしてドアをノックした
蒼崎局長は入室を認めてくれたので局長室に入った

「ネルフが組織を動かして彼女に手を出すことは止めているよ」

局長のセリフに私は局長が圧力をかけてくれていることを察した
どんなネタで脅したかどうかについてまで追求するつもりはない
しかしカオリを守るためには状況把握は最も必要なことである。
カオリの周辺人物に関する情報を得るには局長と話し合いをして内容の共有が重要である

「今回の一件についてのマスコミ対応のシナリオを用意したよ」

局長から私はファイルを受け取った。
マスコミには表向きは反ネルフの武装組織が的を外して一般人にけがをさせたというものだった
カオリを守るには報道管制がある程度必要になってくることはわかっている
最大の課題はどこまでなら報道を認めるか

「彼女の警護は今まで君に任せてきたけど、状況は変わったよ」

局長の言葉に私はネルフの一握りの幹部がカオリのことを。
あの儀式の真実を暴くために、暴れる可能性があるとすぐに理解した

「カオリの真実を知っているのは限られたメンバーだけです。ネルフ側でそれを知っているのは」

『彼女』が『彼』であることを知っているのは渚カオルと碇レイと惣流アスカ。
そしてネルフの上層部の人間。それも碇ユイと碇ゲンドウなどだ
渚カオルに関しては多少は譲歩しても良い。
問題があるとするならエヴァのパイロットの碇レイと惣流アスカだ
幼い人間はどんな行動をしてくるか想像できない

「ネルフからの監視についてはこちらの脅しが今は効いているけど、子供たちまでそれが機能するかはわからない」

そういう事ですねと局長に確認するとその通りだよと回答をくれた
問題はここから先だ。カオリが入院していることがネルフ側に漏れている
もちろん知っているメンツはかなり限定されているはずだ。
だけどカオリのことを利用価値があると判断してとんでもないことを仕掛けてくるかもしれない。
複雑に絡み合っている思惑を考えるとこちらもマニュアル作成が極めて重要になってくる

「ところで彼は大丈夫かな?」

「局長。今のカオリにとって彼は大切な人です。仕方がないから耐えるしかないことを覚えました」

相葉ユウ。カオリにとって彼は大切な存在だ。
永久に生きることはできないが、今の状況では相葉ユウの存在は大きな価値がある
私としてはそんなことを認めるのは苦渋な決断でしかない
彼はカオリにとって『海岸の町』の人の中で『両親』と同じくらいに大切に考えているくらいわかっている
だから仕方がないと判断するしかない